居酒屋で注文がスルーされる、何度も聞き返される。大きな声が出せない悩みは「詩吟」で解決!

生活

2017/10/24

『大声のすすめ 和の発声法で伝わる話し方』(乙津 理風 おとつ・りふう/晶文社)

 居酒屋で店員さんを呼ぶにも緊張する、人前で話すのは苦手など、「大きな声が出ない」ことで、コミュニケーション力も低くなり、なんだか自信までなくなりそうな人にオススメの一冊が『大声のすすめ 和の発声法で伝わる話し方』(乙津 理風 おとつ・りふう/晶文社)である。乙津理風氏は1981年生まれの詩吟師範。渋谷と青山で「ナチュラル詩吟教室」を開催し、海外でワークショップを開くなど、詩吟の魅力を若い世代にも伝える「詩吟女子」である。

「詩吟」とは、漢詩 和歌 俳句などの古典の名詩を大きな声に出してよむ、日本の伝統文化であり、江戸後期に漢詩の勉強や心身の鍛錬のために行われたことが起源である。言葉に抑揚をつけて間の取り方に気を配り、下腹部に力を込め、声を大きく轟かせるように発することで、情景や情感を伝え、聞き手に感動を与えるものだ。百人一首でおなじみの「久方の 光のどけき 春のひに しづ心なく 花の散るらむ」などの美しい和歌を、声で表現する詩吟は、歌というより「語り」である朗読や演説に近い。

 詩吟の特徴は、腹から出るような大きな声の地声、言葉の語尾の母音を長く伸ばす、声をゆらす、というものだが、大きな声を出すときの「おーーーい」「すみませーーーん」などの言葉は、必ず母音が伸びている。これが、詩吟が大きな声のレッスンの役に立つ理由の一つである。

 メールやインターネットの発達で、声を出す機会が減っている現代。しかし「大きな声」を出すことは、ストレス発散、老化予防、何よりも「自信がつく」という効果があるのだ。声を出す機会が少ないと、出そうとしたときに体が緊張し硬くなる。するとますます声は出なくなる。

 まずは身体の力を抜いて「おーーーい」のレッスンから始めてみよう。ポイントは、身体を、真っすぐで空洞のある「ちくわ」だと思うこと! 家で大声は出しにくい場合は、カラオケボックスでの練習がオススメだそう。本書ではさらに、通る声、伝わる声、説得力のある声の出し方などをイラスト図解で紹介している。

 古典の名詩は、歴史や季節、感情など、実にバラエティーに富み、宴会でウケるもの、結婚式にピッタリというものもある。詩吟は年配の人の趣味、渋い、古いというイメージがあるが、詩吟女子、詩吟男子を目指せば、憧れの「大声」と同時に、「日本文化や歴史に造詣の深い人」という好印象まで手に入りそうだ。大声が出ないとお悩みの方はもちろん、和のお稽古に興味のある方にも読んでほしい一冊だ。

文=泉ゆりこ