「叩く、どなる」のしつけは子どもの問題行動に… 子どもの気持ちに寄り添った「声がけ」とは?

出産・子育て

2017/11/10

『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』(かんき出版)

 子育てには、時には叩いたり、どなったりすることが必要だと考えている人が、じつは少なくない。しかし、それはしつけのためであって、多くの親は、できることなら、愛情をかける子どもを叩くことなく育てたいと願っている。そんな親たちの行動に目を向け、『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』(かんき出版)の著者である高祖常子さんは、国や企業を巻き込んで子どもの虐待の防止を訴える「オレンジリボン運動」を行いながら、「どならない、叩かない子育て」を広めている。

■「どなるのは子どものため」は親の勘違い

 子どもが言うことを聞かなくてイライラする、という親は多いが、そのイライラの原因は親のほうにあるのでは? と著者は指摘する。たとえば、着替えに時間がかかる子どもには「なんでさっさとできないの?」と言いたくもなるが、それは親が「着替えには◯分あれば十分」というタイムスケジュールを一方的に押しつけているだけ。いわば、親のエゴなのだ。子どもは、時間を見ながら動くことを少しずつ練習している最中。イライラするとは思うが、我が子の成長と発達のペースを考慮してあげることが大切だという。

■叩かれた心の傷が問題行動につながる

 叩く、どなるといった行為が子どもにどんな影響を与えるかということにも目を向けたい。本書によると、しつけのためと思って叩いても、低年齢の子どもには通じないから無意味だという。そこに残るのは、“大好きな親から叩かれた”という体や心の痛みだけだ。そういった経験が重なると子どもは心を閉ざしてしまう。実際に、3歳半までにお尻などを叩かれた子が、5歳半の時に、落ち着いて話を聞けない、約束を守れないといった問題行動を起こすリスクが高いという研究結果が報告されているそうだ。(2017年藤原武男・東京医科歯科大教授らによる研究結果)

■「どなる」のではなく、子どもの気持ちに寄り添った「声がけ」を

 では、どうしたら叩かず、どならずにいられるのか? まずは、カッとしそうになった時、親自身が気を紛らわすなどしてクールダウンすることが大切だ。クールダウンの方法については、本書でも細かく触れられている。親の気持ちが落ち着いた後は、子どもがどうして親を怒らせるような行動を取ったのか、子どもの気持ちになって考えてみること。たとえば、子どもが友だちのおもちゃを取り上げてしまった時、子どもに悪いことをしたという意識はなく、ただ楽しく遊びたいだけだったのかもしれない。そう考えれば、「おもちゃを返してあげなさい!」と威圧的に指示するのではなく、状況を説明してあげる、どうしたらいいのか一緒に考えるといった、より子どもの気持ちに寄り添った声がけができるはずだ。

■「父性と母性」が、叩かない子育てのヒントに

 こうした時のヒントになるのが、本書に書かれた父性と母性の話。子育てには母性と父性が必要で、母性とは「子どものありのままの気持ちを受け止めること」、父性とは視野を広く持ち、規律、役割り、義務、責任といった社会性を教えていくこと。ただし、ママが母性、パパが母性ということではなく、お母さんがほぼ1人で子育てをしている場合は、「ちゃんと育てなくては」という気持ちが先立って母性より父性が強くなり、つい感情的になりがちだ。まずは母性的な対応で子どもの気持ちをキャッチし、それから「どうしたらいいか」を父性的な対応で考えていく。子どもの行動にイライラした時はこのことを思い出し、それを繰り返していくことで、「どならない、叩かない子育て」が実現していきそうだ。

文=吉田有希