孤独死バンザイ!人間国宝になって「バカ」をやりたい!衰えないビートたけしの野望、バカ論

社会

2017/11/15

『バカ論』(ビートたけし/新潮社)

 「炎上」、それはここ最近よく耳にするようになった言葉のひとつだ。主にSNSやテレビなどの媒体を通じて発信された言動に対して非難が集中して大騒ぎになる様をいう。つい最近、バラエティ番組でベテランお笑いコンビが、30年ほど前に流行ったとある性的指向を持ったキャラクターを番組内で復活させたところ、「差別だ!」と、大炎上した。テレビ局の社長が謝罪する事態にまで問題が大きくなってしまったことは、記憶に新しい。炎上ネタで多いのが、男女その他の性に関する差別、不倫、特定の人たちへの中傷などだ。しかし、一方で「過剰反応」「表現の自由を守れ」という声もある。常に人目に晒されている政治家、芸能人などは、意図するしないにかかわらずしばしば炎上が起こる。たいていの場合、当事者がすぐに謝罪。しかし謝り方が悪いとさらなる炎上のタネになる。炎上→謝罪→大炎上→謝罪の繰り返し。それが嫌なら、顔が見えない大多数を常に意識しながらの慎重な発言が求められる。

 そんな「炎上」どこ吹く風…の男がいる。

「炎上だと?!上等だ!バカヤロウ!」

 そんな声が聞こえてきそうな、お笑いビッグ3のひとり、ビートたけしだ。「バカをするのが仕事」のお笑い芸人のビートたけしが、「バカ」について本を書いた。『バカ論』(ビートたけし/新潮社)は、かつてFRIDAY襲撃事件を先導し、生死の間をさまようような交通事故を起こすなど数々の「バカ」をやり倒してきた著者が、齢70にして、「バカ」について論じている。

■ズレた質問、ありふれた質問だけの「バカ」なレポーターたち

 お笑い界の頂点に君臨し、ニュース番組に出演し、さらに映画監督としての顔も持つ著者は、世界各国の様々なタイプのメディアからインタビューを受ける。

-インタビュー相手の名前や作品名を最後まで間違えるバカ…これはもう、論外
-やたら質問が長いバカ…もう何を答えればいいのかわからない
-やたらと携帯が鳴るバカ…電源くらい切ってくれ。

 挙げればきりがないという。

「夢を諦めないで」というバカな大人たち。「やりたい仕事が見つからない」という今どきの若者に対しても、苦言は続く。

「やりたい仕事が見つからない」ではなくて、やりたくてもそれに見合った実力がないだけ。
「夢をあきらめちゃダメだ。希望を捨てずに努力すれば、きっと夢は叶う」-なんて、安っぽい曲の歌詞みたいなことばかり言ってるからダメなんであって、現実を直視させなきゃいけない。負けることを知らず、現実も見ないで、「やりたい仕事が見つからない」と嘆くなんて図々しいにも程がある。

 なかなかに手厳しい。

 ビートたけしが生まれ育った東京の下町では挨拶代わりに「おい、このバカ、元気か?」と声がかかり、かわいい「バカ」を、親しみもって愛おしむ。日本全体が「バカ」な方向に向かうことがないように、何が「バカ」か、どのようにしてバカが生まれるのか、「バカ」正直に見極めていくことが、今は大事なのだ。

文=銀 璃子