結果の9割は無意識の思い込みが決めている!? あなたを成功に導く無意識バイアストレーニング
更新日:2017/12/18
私たちは普段どのくらい、自分の「無意識」を意識できているだろうか。「俺はしっかりと自分を客観視できている」と言っても、その考え自体が思い込みだったらどうしようもない話である。
わたしたちは解釈の世界に生きています。わたしたちが「知っている」こと、「わかっている」こと、「見えている世界」はすべて自分なりの解釈でつくり出されています。つまり、ほとんどが「知っているつもり」「わかっているつもり」「見えているつもり」のものでできあがっているのです。
そう語るのは株式会社モリヤコンサルティング代表取締役、守屋智敬さん。組織開発プログラムを通したリーダーシップ研修を数多く提供し、2万人以上のリーダーの育成に携わってきた人物だ。そんな著者の本『あなたのチームがうまくいかないのは「無意識」の思い込みのせいです』(守屋智敬/大和書房)は、リーダーたちの「無意識」に潜む危険を指摘している。本書が取り上げている状況は主に組織のリーダーに関する実例だが、リーダーは勿論のこと、そうでない立場の人でも十分に適用できる啓発本となっている。
■「裸の王様」になっていませんか?
王様も、家来も、国民も、「バカだと思われたくない」という“自己防衛心”によって、周りに、そして自分にまで嘘をついてしまったのが『裸の王様』の話のオチ。これはまさに「自分のやっていることに気付いていない」という“アンコンシャス・バイアス”(=ステレオタイプに基づく決めつけ・慢心)の怖いところだと著者は指摘する。
「やることなすこと、すべてうまくいっている」と思っていても、そう思っているのはあなただけ。まわりは、上下関係や、利害関係に配慮して、「あなたは裸の王様になっていますよ」と、真実を伝えてくれる人がいなくなっている可能性はないでしょうか。(27頁)
「気付いていない自分に気付く」ことができなければ、その人はいつまでたっても「無意識の誤った自分」に振り回されてしまうのだ。
■「若者だから」と決めこまない
たとえば、あなたが若手メンバーに対して、もっと積極的にお客さまに提案をし「買ってください」の一言をいうべきだと思っていたとします。ところがそのメンバーはお客さまのところにいっても、なかなか契約をとって帰ってきません。しかし、この結果だけで「契約をとる意識が薄い」「学生気分が抜けていない」といっても、相手の腹には落ちないことが往々にしてあります。なぜなら、「契約締結を優先すべきだ」というリーダーの価値観に対し、メンバーは、「取引先との信頼関係を優先すべきだ」という価値観をもっている可能性もあるからです。(67頁)
「今どきの若者は」という言葉はいつの時代にもあるもので、その正体の多くは優劣ではなく単純に価値観が違うだけなのだ。まさに今この時も、上の例のようなシチュエーションに遭遇して不満を抱えている若い世代も大勢いることだろう。相手の価値観を知ろうとしないで無理にリーダーの価値観を押し付けるだけでは、相手の行動は変わらない。
では、このような不毛なすれ違いをなくすためには、リーダーはどのような点に気を付けるべきなのか。それは、「共にめざすことのできるゴールを探す」ことだと著者は説く。「ジェネレーションギャップ」という言葉を生み出すのも、人々の“アンコンシャス・バイアス”であるのだ。
我々は「無意識」の思い込みのせいで、日々不毛なディスコミュニケーションをも生み出している。「ブラック企業」なんてものは、まさにその結果だといえるだろう。自分を防衛するために“無意識の自分”に蓋をし続けていては、いつまでたっても生産性は向上しない。
文=K(稲)
レビューカテゴリーの最新記事
今月のダ・ヴィンチ
ダ・ヴィンチ 2024年5月号 私の『名探偵コナン』履歴書/『ダ・ヴィンチ』創刊30周年
特集1 祝・連載30周年! 私の『名探偵コナン』履歴書/特集2 雑誌不況の“荒波”を乗り切れるか!? 『ダ・ヴィンチ』創刊30周年 他...
2024年4月6日発売 価格 850円
人気記事
-
1
-
2
井口裕香「地球みたいに丸いおしりが撮れた」。“飾らないエロさ”を意識して生まれたセカンド写真集「MORE MORE MORE」の本気度を語るロングインタビュー
-
3
竹を切るときは慎重に! 翁が光る竹を切ると、中から美しい子ねこが現れて… 【竹取物語なねこ】/みっけ!ねこむかしばなし⑥
-
4
-
5
人気記事をもっとみる
新着記事
今日のオススメ
-
レビュー
TVアニメ第2期決定・累計3300万部『薬屋のひとりごと』。最新15巻は医療ドラマと大人の愛憎劇が見どころ!
PR -
インタビュー・対談
「大切な人を想う気持ちに国は関係ない」台湾人作家が日本の子どもたちに読み聞かせた『ママはおそらのくもみたい』〈レポート&インタビュー〉
-
インタビュー・対談
芸人の描くコミックエッセイはなぜこんなに面白いのか? 矢部太郎とバッドボーイズ清人が執筆後の感情を語り尽くす【インタビュー】
-
レビュー
20代前半の焦燥感、もがき続けたあの時間が詰まった青春小説。上手くいかない日々が綴られる『22歳の扉』
PR -
レビュー
異能力×学園ファンタジー漫画『群青のストレンジャー』。見た目は人間…中身は狼、天使、人ならざる“亜人”の正体とは
PR
電子書店コミック売上ランキング
-
Amazonコミック売上トップ3
Amazonランキングの続きはこちら -
楽天Koboコミック売上トップ3
楽天ランキングの続きはこちら