3人に一人が子なし時代へ「子どものいない人生」どう生きていく?

出産・子育て

2017/12/6

『誰も教えてくれなかった子どものいない人生の歩き方』(くどうみやこ/主婦の友社)

「結婚したら子どもを産むのは当然」という認識は、やはり根強い。「子どものいない女性たち」は、現代社会の中でどこか生きづらさを感じている。

 一方、そういった女性に対して周囲も踏み込めず、腫れ物に触るような扱いをしてはいないだろうか? そのせいもあってか、子どものいない人生がどういうものなのか、実態が見えにくくなっている。だが、女性の社会進出に伴い「子どもがいない女性」は今後も増加していく傾向にあり、近い将来、「生涯無子率」は女性で約3割になるそうだ。

『誰も教えてくれなかった子どものいない人生の歩き方』(くどうみやこ/主婦の友社)は、子どもがいない女性たちの本音、意識調査アンケート、各分野の専門家の見解などをまとめ、子どもを持たなかった人たちへ「新たな大人のライフコース」を示す一冊である。

 著者のくどうみやこさんにも、子どもがいない。だが、そんな人生になるとは思いも寄らなかったとか。「いつかは」と思いつつ30代は仕事に集中して、40代前半に発症した病気が原因で、「子どもがいない人生が確定した」。

「産まない」という強い信念があったわけではないくどうさんは、「こんなことになるなら、早く産んでおけばよかった」と後悔したそうだ。「産まない」と「産めない」では、気持ちの上で大きな落差があることを、身をもって知ったという。

 現在は、落ち込んでいた時期から脱け出し「子どもがいない女性」をテーマに活動していくことをライフワークとして、精力的に活躍されている。

 本書では、未婚・既婚・「産めなかった」・「産まなかった」……それぞれの事情を抱える13人の女性の話が載っている。

 不妊治療に励んだが、結局できなかった方や、そもそも子どもをほしいと思ったことがない方、また、男性側の意見なども紹介されている。

「子どものいない女性」に「なぜいないのか?」を根掘り葉掘り聞くことは難しいし、自分からその理由を述べることも少ない。そのため「子どもがいないこと」や「不妊治療をしていること」「子どもがほしいと思えないこと」など、そういった悩みを抱えている女性は、孤独感を持っているのではないだろうか。

 一人で苦しんでいる方にとって、こういった「人生の先輩」たちのエピソードは大いに参考になり、また後悔や苦痛を癒やす一助になると思う。

 さらに、脳科学者や不妊カウンセラー、心理学者など、専門家による「子どもがいない女性のカラダとココロについての見解」も興味深かった。

 脳科学者の黒川伊保子さんによると、子どもを産んだ女性と産まなかった女性とでは脳に違いが生じ、その結果、人生の歩み方も変わっていくのではないかと述べている。

子どもを産んだ女性は、子育てに手がかかることを含めて、水平展開していく人生。子どもを持たなければ、一つの物事を追求して階段を上っていくことができる人生。どちらも素晴らしい人生です。

 どちらが「いい・悪い」ではないのだ。

 社会学者の千田有紀さんは、

結婚、子ども、仕事。全部を手に入れるのがいちばんいいという風潮があるので、何かが欠けていると足りない自分に思えてしまう。ですが実際は、全部を手に入れている女性は相当ヘトヘト。(中略)疲れ果ててしまうのが今の日本社会なのです。

 と語る。

「子どもがいない人生」に不安や罪悪感をもつ女性も多いだろう。だが「気持ちに折り合いをつけて、人生を好転させていく」ことが大切だ。

子どもを持てなかったのではなく、免除されたと前向きフレーズに変えてみる。子どもがいない事実を変えようがないのなら、子どものいないライフスタイルの特権を楽しみ、やりたいことを追求していこう。

 著者のくどうさんの熱い想いがこもった本書は、多くの悩める女性に(もちろん、男性にも!)読んでいただきたい一冊だ。

文=雨野裾