多種多様なブスが登場! 21世紀のブスの注目の美容法とは?「自己啓発ブス」「アート系ブス」って?

エンタメ

2017/12/25

『ブスのたしなみ』(カレー沢薫/太田出版)

『ブスの本懐』に続き、「cakes」連載中の人気コラム「ブス図鑑」に加筆修正、書き下ろしを加えた『ブスのたしなみ』(カレー沢薫/太田出版)が発売された。カレー沢薫氏は「ブスに厳しいブス」と自負する、OL兼漫画家、コラムニストである。

 まず巻頭の「ブスタイプ診断」に、真面目に取り組んでみた。無頓着ブス、個性派ブス、きちんとしたブス、自己啓発ブスなど、さまざまな「ブス」が並ぶ。タイプは違えど、人間誰しも「ブス」なのだ。美人には、これほどのバリエーションはないだろう。もしかしたらブスの方が深みやおもしろみがあって魅力的なのではないか?

 カレー沢氏は「ブスというのは容貌が悪いのではない。難解なのだ」と述べる。「ピカソ系ブス」「ダリ系ブス」を擁する「アート系ブス」について、「ブスというのはアートなのかもしれない」と考える。「美人というのは写実的な風景画みたいなもので大体の人が美しいと判断できるが、ピカソを、まったくの初見で素晴らしいという人はそんなにいないだろうし、ふざけてるのかと怒り出す人もいるだろう。ブスも真面目にブスでありピカソも真面目にアート」。ブスもアートも理解するには時間とセンスが必要なのだ。理解するのが簡単な美人よりレベルが高いのだとカレー沢氏は述べるのだ。

 カレー沢氏は続ける。

わからない奴には一生わからないし、評価されるには時間がかかる。しかし死後に評価された画家もいるから死後にワンチャン。ブス専ではなくアートに関心があると言った方がいい。

 英語でブスは何というか。遠回しに言う時は「plain」。基本、ベーシックなもの。つまり地味ブスという意味。しかし「ugly」、アグリーの方は、はっきり物を言う外国人でさえ、人に対して決して使ってはいけない言葉としている。国際人として覚えておきたい。

 カレー沢氏の、前向きな「ブス」への探求心は、読む者に「ブス」を楽しんでいる、ブスになりたくてなったとすら感じさせる。「ブス」が、あらゆる言葉や現象と相性がよいのも発見だ。「肉巻きおにぎりブス」というのも、意外すぎる組み合わせのようだが、本書を読むとアルアルである。

 表紙を見た時に、堂々と書かれた「ブス」に驚愕したが、だんだん慣れてきて抵抗がなくなり、ついには「ブス」の懐は深いのでは、と思うようになった。カレー沢氏はブスに厳しいのではなく、ブスに優しいのではないだろうか。「ブス」に特化した本書を、ブスの人も美人の人も気軽に楽しんでほしい。

文=泉ゆりこ