あなたの腰は大丈夫? 知らぬ間に忍び寄る「脊柱管狭窄症」に要注意!! 自分で治せる“ミラクルストレッチ”に注目!

健康・美容

公開日:2017/12/30

『脊柱管狭窄症は自分で治せる!』(酒井慎太郎/学研)

 高齢者を中心に、「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」という腰痛に悩まされている人が増えているのをご存じだろうか。和歌山県立医大などの調査によると、この病気の国内の推定有病者は、まだ症状を発症していない人も含めて、約580万人にも上るという(日経電子版、2017年11月27日)。

 いったいどんな病気なのか、『脊柱管狭窄症は自分で治せる!』(学研)の著者、酒井慎太郎氏の解説によれば、「脊柱管という背骨(脊柱)の内側の管が狭くなり、その中を通っている神経(脊髄)が圧迫されて痛みを引き起こす病気」だそうだ。

 腰の激しい痛みや足のしびれ、重だるさが主な症状で、そのままにしておくと、将来的には寝たきりになってしまう可能性もあるという。

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 そのため、多くの患者さんが手術もしくは投薬治療に頼るわけだが、本書のタイトルからわかる通り、酒井氏は手術や薬に頼らなくても「自分で治せる」と本書で豪語するのである。

 その酒井氏だが、「さかいクリニックグループ」の代表にして、これまでに脊柱管狭窄症を含む腰痛患者の99%を完治させてきたゴッドハンドというから頼もしい。

 では、どう自分で治すかと言えば、まずは自分の腰痛タイプ(A or B)を知ることから始めるのだ。酒井氏によれば、腰痛は大きく2つに分かれるという。

「前かがみになると痛いタイプ」=A
「後ろに反ると痛いタイプ」=B

 である。本書冒頭にチェックシートがあるので、それによって、自分がAタイプなのかBなのかをまず知る。

 あとはガイダンスに従い、本書に写真付きでわかりやすく解説されている「9つのストレッチ」の中から、症状に合ったものをチョイスして進めていくだけである。

 ちなみにどのストレッチも「硬式テニスボールを2つ」用意しておくだけで行えるので、とても手軽に実践できる内容だ。

 本書が紹介するこれらのセルフケア法はなにも、脊柱管狭窄症に悩む人だけに特化したものではない。というのも、脊柱管狭窄症というのは、ぎっくり腰や椎間板ヘルニアほか、老若男女がさまざまに積み重ねてきた腰痛の集大成みたいなもの。つまり脊柱管狭窄症を制することは、その他の腰痛を制することでもあるという。また、特に腰痛はひどくないという人も、今のうちから本書のガイダンスに従って腰のケアを行うことで、将来の脊柱管狭窄症を予防することもできるということだ。

 また本書には、腰痛患者の間違った常識を正してくれる、“真”常識も多数記されている。例えば、「痛いから動かないはNG」という真常識はどうだろうか。

 腰や関節が痛くなると、つい、動かさないようにしようと考えるものだ。しかし酒井氏はこう記している。

動かさないでいると、可動域が小さくなっている関節がますます固まり、筋肉もやせ細ったり動かなくなったりします。そのため、痛みなどのトラブルが徐々に大きくなり、普通に生活するための活動が難しくなっていきます。

 こうした場合、休み休みでも少しずつでもいいから動かすことが大事だそう。その他にも詳細なアドバイスが本書に記されている。「今つらい」「すぐに痛みをとりたい」という方は、ぜひ、本書を参考にしてみてほしい。

 腰という部位は、書いて時のごとく体の要である。そして、腰の状態がよくなれば、肩こりや首の痛み、股関節痛、ひざ痛、足首の痛みなども改善される。本書で「腰に悪い生活習慣」を学び、テニスボールストレッチで改善させ、腰に不安のある人は巻末の「腰痛解消ダイアリー」をも活用しながら、健康寿命を延ばしていこう。

文=町田光