笑いとばして元気になれる! 発達障害の息子と娘を育てた母さんの、16年間のドタバタ奮闘記

出産・子育て

2018/1/16

『母、ぐれちゃった。発達障害の息子と娘を育てた16年』(あじろふみこ/中央公論新社)

 ここ数年で発達障害についての情報が増え、幅広い年齢層が関心を寄せるようになった。『母、ぐれちゃった。発達障害の息子と娘を育てた16年』(あじろふみこ/中央公論新社)は、母親として発達障害の息子と娘と16年間過ごした日々をまとめたものだ。

「3歳半まで発達障害を放置してしまった」という母であり著者である、あじろ ふみこ氏は、いち早く子どもの障害を見つけてあげて、と述べる。息子・カツオは9カ月で走り出し、スーパーでは鮮魚を手づかみ、酒ビンを倒し、引き離そうとすると全身全霊で号泣、しかも寝ない。「なんか変」と思ってはいたが、悩んでいる暇さえなかった。2歳下の娘・アワビは、家では、ずっとしゃべり続けているのに、外では人形のように動かず固まったまま。「カツオと違うが、なんか変」。どちらも3歳半検診では、いかに説明しようとも保健師に「問題ない」とされたほど、当時、発達障害は知られていなかったのだ。

カツオ 高機能自閉症(知的障害を伴わない自閉症)
アワビ アスペルガー傾向、ADHD(注意欠如多動性障害)、LD(学習障害)

 本書には、医師が「今でも最先端だ」と述べる、著者がとことん学び試してきた、いくつかのトレーニング方法が紹介されている。

 専門書を読み漁るうち、ダンナさんであるトド氏のヘンテコな性格が高機能自閉症、アスペルガー症候群にピッタリ当てはまると目を見張ったという著者。そしてなんとカツオの主治医に、著者自身も発達障害・ADHDであることを指摘されるのだ!

 家事も、超大変な育児もすべて1人でこなせていたのは同時処理能力が高いという発達障害の特性でもあったのだ。気づかずに生きてきたが、思い当たることが大いにあったという。

 著者は短期大学を卒業後、東京湾で150人乗り海上バスの船長兼機関長を務めてきた。その後、当時の上司の息子のトド氏とお見合い結婚をしたそう。得意分野をいかし苦手なところを補い合って、夫婦は知らぬ間に、「発達障害」をうまく乗りこなしてきたのだろう。

 著者は現在、子育ての経験を生かし支援員として働いている。トド氏ものんびりながら成長しているという。アワビは中学2年生になり女子ライフ満喫中。通信制の普通高校に通うカツオは療育の先生から処理能力がめちゃくちゃ高く、正確度が高いと言われたという。

 子どもたちは「発達障害は、神様からもらった特別な能力」と捉えている。アワビは自由研究で「苦手なことは悪いことではない。だからといってほっといて逃げてはいけないことがわかった。苦手なことを逃げないで自分でうまくいく方法もさらに見つけていこうと思う」と書いている。著者の行動力とポジティブな思考に感銘を受けるとともに、本書をここまで読んできた誰もが、子どもたちよ、よくここまで育った!と感慨深く感じるだろう。

文=泉ゆりこ