通説を信じて実行しても疲労はたまるだけ! 最新の科学的根拠に基づいた超効果的な疲労解消法

健康・美容

2018/1/19

『すべての疲労は脳が原因(集英社新書)』(梶本修身/集英社)

「疲れているのは体じゃない、脳だった!」という、なんとも力強い表紙の言葉。それを目にして、「あぁ、そう言われてみれば脳の方が疲れているのかも……」と背中を押されるような心持ちで、妙な期待感とともにめくりたくなってしまう本。『すべての疲労は脳が原因(集英社新書)』(梶本修身/集英社)は、そんな日頃の疲れが気になっている人を裏切らない内容だ。

 東京疲労・睡眠クリニックの院長である著者は、かつて、脳年齢や脳ストレス度を自分で計測できるアプリ『アタマスキャン』のプログラムの監修で「脳年齢」ブームを巻き起こした。現在手がけている、抗疲労効果のある医薬品や食品、住空間作りなど、抗疲労研究で見出した最新情報をもとに“脳疲労のメカニズムと解消法”を伝えるのが本書である。

 巻頭から、「一般的に信じられている疲れをとるための方法」として、次のような例を挙げている。

・運動でストレスを発散すると疲れもスッキリとれる
・ニンニク料理、ウナギ、焼き肉、栄養ドリンクで疲れは軽減する
・休日に人気の温泉地でたっぷりお風呂に入って、疲れをとる
・残業の疲れは、楽しくお酒を飲めばリセットできる

 著者の研究によると、これらは科学的根拠がなく、それどころか疲労を悪化させるリスクが高いらしい。スタミナ食であるニンニクやうなぎが、なぜ疲労回復を阻害するのかと、疑問に思う人も多いだろう。その疑問は、本書で徐々に明かされていく――。

 その答えとなるメインページでは、実は体の疲れは脳の疲れであることを、最新の科学的根拠と脳の図を交えながら解説。まず、心して認識しなくてはならないのは、疲労の概念だ。脳の見地からすると、疲労とは「これ以上、運動や仕事などの作業を続けると体に害が及ぶ」という、脳の中枢神経からの生体アラームである。

 この時、体内ではエネルギーの枯渇というよりも、細胞が活性酸素による「酸化ストレス」にさらされていて、本来の機能を維持できなくなる手前の危うい状態だという。

 それに関連する「脳疲労の3大サイン」として、「飽きる」「疲れる」「眠くなる」が起こる仕組みを挙げている。もし、何かをしていて飽きてきたなら、それ以上は集中せずに休息をとって別作業を行う方が効率的だそうだ。

 他にも、一般的に疲れに良いと思われている、数々の社会通念を覆す研究結果も公開。

・運動時に最も疲れるのは、自律神経の中枢がある脳
・疲労の原因物質は、乳酸ではなく、活性酸素
・疲労回復にとって栄養ドリンクはむしろマイナス

 など、その理由をページをさいて詳しく説明している。特に、疲労回復に一番効果があるという栄養成分「イミダペプチド」の情報は興味深い。鶏の胸肉、マグロやカツオに含まれているとわかれば、今後の食事を一考したくなるだろう。

 後半では、疲れを軽減させるための睡眠や住空間について言及。脳に悪影響を及ぼすいびきの治療法や、睡眠障害の改善法のほか、日常生活で脳をリフレッシュする方法についても触れられている。

 さらには、複数のことを同時に考えて行動できる脳機能「ワーキングメモリ」を向上させる方法も含め、脳の疲労を軽減し、なおかつ脳を元気にさせるためのポイントを網羅。

 さすがは、「脳年齢」ブームを起こした著者だけあって、全般的に脳の疲れの影響と解消法が非常にわかりやすくまとめられている。疲労とおさらばして、体軽やかスッキリ気分で過ごしたいなら、常識を覆すこの最新情報をいち早く取り入れてみては。

文=星野ユリカ