「敷居が高い」「御の字」——間違った意味で使っていませんか? 「正しい日本語」を見事に網羅した最新バイブル

暮らし

2018/1/18

『大人の語彙力が面白いほど身につく本(青春新書プレイブックス)』(話題の達人倶楽部:編/青春出版社)

 誰かと話していて、ここぞと思う時に、的確な言葉が口から出るだろうか? 何かを書いている時に、最適な表現がすぐに思い浮かぶだろうか? 誰だって、それを指すちゃんとした言葉が思い出せなくて、モヤモヤしながら別の言葉に置き換えてしまうことがある。最適な言葉を自在に表現できたら、どんなにいいだろう。それは、ひとえに「語彙力」にかかっている。

 こんな思いに十分すぎるほどに応えてくれるのが、『大人の語彙力が面白いほど身につく本(青春新書プレイブックス)』(話題の達人倶楽部:編/青春出版社)だ。「できる大人の日本語練習帳」と表紙に銘打っているだけに、ページをめくる前から期待度が高まる。その期待を裏切ることなく、831もの語彙が網羅され、その言葉の正誤が理由とともに述べられている。

 単に羅列するだけではなく、全編を「書き間違い」「言い間違い」「カタカナ語を武器にする」などのテーマで、step1からstep6に分け、語彙力アップのための知識を紹介。理解しやすいよう、見やすく端的に綴られているのも特徴だ。

 その一部を、step3までを含めてざっくり紹介しよう。

・簡単なのに、誰もが読み間違える日本語
逃す ×にがす → ○のがす
迷い子 ×まいご → ○まよいご

・多くの人に意味を取り違えられている言葉
御の字 → 本来の意味は「大いにありがたい」
しかし、調査によると51.4%の人が「一応、納得できる」という意味だと思っていたという。
敷居が高い → 本来の意味は「相手に不義理をして行きにくい」
しかし、調査によると45.6%の人が「高級すぎたり、上品すぎたりして、入りにくい」という意味だと思っていたという。

・重複表現
×IT技術 → ○IT
×チゲ鍋 → ○チゲ
×えんどうまめ → ○えんどう

・相当滑稽な重複表現
×収入が入る → ○収入を得る
×満天の星空 → ○満天の星

・書き間違い
×散りばめる→ ○鏤める、ちりばめる
×うつ向く→ ○俯く、うつむく
×聴こえる→ ○聞こえる
×食料事情 → ○食糧事情

・カタカナ語の書き間違い
×フューチャリング → ○フィーチャリング
×シュミレーション → ○シミュレーション
×リラクゼーション → ○リラクセーション

・言い間違い
×垣間見せる → ○垣間見る
×自信なさげ → ○自信なげ

 後半のstep4では、心得ておきたいインテリに見える語彙集として、「先般、当該、拝受、ご厚情、ご高説」などといった、さまざまな表現と意味を解説。確かに、このような言い回しをさりげなく使えれば、仕事でもスマートに振る舞えそうだ。

 続くstep5では、意味を心得ておきたいカタカナ語を紹介。例えば、「トップヘビー」とは、組織などで、肩書きの立派な人が多すぎて物事が円滑に進まない状態。「ティッピングポイント」とは、物事が大きく変わりだす分岐点を意味するという。「知らなかった…、でも、知ったからには何かに役立ちそう」と思えるような言葉がえり抜かれている。

 どんなに日本語に自信がある人でも、本書で網羅されている言葉をすべて理解している人はいないのでは? と思わせるくらい、ハイレベルな情報のオンパレード。まさに、今どきの日本語の教科書である。

 ちなみに、春や初夏に「さわやかな季節」と表現するのは不適切だそう。これは、びっくり! 理由は、「さわやか」は本来秋の季語だから、ということだ。

 読み進めるほど、自分がいかに誤った言葉を使っていたかがわかり、ある意味、ショッキングでもある。しかし、本書と出会ったことで、間違いなく救われるはずだ。残りの人生で恥をかくことも、言葉に窮することも減るわけなのだから。

 言葉の威力は大きい。言葉ひとつで人間関係が大きく変わることもある。今までふさわしい言葉を使えなくて損をしてきた人や、会話にコンプレックスを持っている人のみならず、この本は、読んでおくと誰もがメリットしかない“正しい日本語を使うための手引き書”なのだ。

文=星野ユリカ