採用率100%! 前科者を積極採用した結果…『天国に一番近い会社に勤めていた話』

ライフスタイル

2018/1/24

『天国に一番近い会社に勤めていた話』(ハルオサン/KADOKAWA)

 著者ハルオサンのクソ人生を、シュールなイラストと共に描くブログ(「警察官クビになってからブログ」)が、『天国に一番近い会社に勤めていた話』(KADOKAWA)として書籍化! 給与5万円、元犯罪者だらけ、厳しいノルマに圧倒的な激務……、そんなブラック企業に勤め続けていた理由とは――。書籍では書ききれなかったエピソードを紹介。

 経歴に傷のついた人間を雇う会社は少ない。
 しかし我が社の社長は「前科は自分にもある! どんな経歴があっても必ず採用する!」と言うのです。人事担当である私は悩み続けました。素性の怪しい者達を採用するべきなのかと……。

 社内の人事担当をしていた私は、その日も面接対応を終えたあと、すぐに社長の元に駆け寄りました。

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 すると社長が満面の笑みで尋ねてきます。
「今日の面接者はどうだった?」

 ふぅー……と私は深く呼吸をし、「社長、採用は無理ですよっ!!」といつものセリフを言います。

「えぇっ? なんで無理なの?」
 社長は感情の読めない顔で私の答えを待ちます。

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「だって今日の面接者……、歯がなかったじゃないですか?」

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 社長も面接者とは2次面接で顔を合わせているハズです。

 私の意見に対して「うーん…」と社長は一応考えるフリだけはしてくれます。
 とは言え、我が社の方針は『採用率100%』。
 どんな過去があろうと必ず採用するのです。

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 社長は私を諭すように私に言います。
「なぜ人を見た目で判断するんだ?」

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 そんな正論で返されると私も何も言えません。
 でも直に彼らの面倒を見るのは課長である私の仕事。
 それがどれほどに大変なことか……。
 採用率100%の我が社は『悪人アリ地獄』。
 すでに社員の過半数が前科者になっておりました。

 そんなある日……、ある新入社員が『サンダル』を履いて出勤してきました。
 我が社は一応営業会社なのですが、夏場にはよくある話です。

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 その日は新人の彼を引き連れて、会社の業務である飛び込み営業を行いました。
 サンダルで数時間も歩けば「足が痛いから休みたい」と言ってきます。
 そこでやっと私は言うワケです。
「そっかぁ……、じゃあクツの方がいいんじゃない?」
 仕事が終わると、新人を誘い靴屋さんに向かいます。
 そこで歩きやすい『ビジネスシューズ』を必死に勧めるのです。
「それ似合っているよ! 絶対そっちのほうがカッコイイよ!」
 なんてね?

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 そんなこんなで少しずつ……私たちは仲を深めていったのです。

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 私の部下には暴行・詐欺・強盗・薬物……、ありとあらゆる前科者がおりました。彼らは根っからのヒネクレ者ばかり。そんな彼らに心を開いてもらう方法はただ1つ。

『まず自分が心を開くこと』。

 新人の彼と2人きりになった時に私はこう話を切り出しました。
「実は自分にも前科があるんだ……」

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「若い頃に、警官を半年で辞めることになってね!」
 驚く部下を尻目に私はフフフ……と笑いながら話を続けます。

「警官を半年で辞めた」と人に言うと、『何か悪いことをしたんじゃないのか?』
『社会不適合者』『根性無し』そんな風なレッテルを張られてしまう。就職先だってなかなか見つからない。

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 この話を聞いた彼は言いました。
「それじゃー前科があるオレと変わらないッスね!」
 その通り!

 私は元警察官で、彼は元受刑者。
 元の立場は全然違うのに今の状況は全く同じ。

 こんな話を打ち明けると、彼も心を開いて言ってくれました。
「前科はあるけど、これからはマジメに働きたいです」

 新入社員のサンダルが靴になり。
 Tシャツがスーツになり。
 派手な髪が黒髪になる頃……「ありがとうございました」と彼は会社を去っていきました…。

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 そして、また新しい面接者がやって来ます。

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 面接が終わると私は社長の元に駆け出します
 急がなければ……急がなければ……。

 私には会社と部下を守る責任がある!

 息を切らし社長の前に立った私は、ふぅーと深く呼吸をしたあと、決まってこう言うのです。
「社長…採用は無理ですよっ!!」

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 こんな私が本を出しました。

文=ハルオサン