「倍返しだ!」とまでは言わないけれど…。マウンティングされたら、ほんのちょっとだけやり返す方法

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公開日:2018/1/25

『ちょっとだけ・こっそり・素早く言い返す技術』(ゆうきゆう/三笠書房)

 必要以上に叱責する、人のことを馬鹿にする――身近にそんな人はいないだろうか。私は少なくともパッと2、3人の顏が浮かぶ。彼らは“マウンティング”することで、常に優位に立っていたいのだろう。

 それが意識的であるならカワイイものだが、そういう奴らに限って無意識であることが多い。「注意してやっている」「みんなが言えないことを言ってあげている」など、こともあろうことか、周囲のために善意でやっているなどと勘違いした輩もいるのだから手に負えない。

 そんなマウンティング志向の方々への最も簡単な対処法は無視することなのだろう。だが、日々、繰り返し小言を言われれば、上手に受け流しているつもりでも、小さな傷が残ってしまうものだ。しかし、言い返してしまっては相手の思うツボ。さらなる攻撃が待っているかもしれない。

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 穏便に済ませたいが、ちょっとはやり返したい! そんな些細な復讐心を心の奥底に抱えている方に是非ともおススメしたいのが『ちょっとだけ・こっそり・素早く言い返す技術』(ゆうきゆう/三笠書房)だ。著者は人気精神科医のゆうきゆう氏。そんなゆうきゆう先生が、マウンティング族に対抗するためのマインドと、ささやかな反撃方法を教えてくれる一冊となっている。

■「それはあなたの主観でしょ?」のスタンスで!

 相手に悪口を言われてしまうと動揺してしまう。それは「確かに、この人が言うように○○な面があるかも…」と相手の悪意も含めて受け入れてしまうことが原因だろう。

 すると、どうだろうか。動揺した我々の姿を見て、彼らは図に乗るのだ。攻撃はさらにエスカレート。こちらはますますフラストレーションを一人溜めなければいけなくなる。まさに負のスパイラル。

 そんな時は考え方を変えなければいけない。相手の言葉を鵜呑みにせず「それはあなたの主観でしょ?」というスタンスで臨むべし! とのこと。

 そもそも、人は「他の人もそう思っているはず。だから自分は正しいはず」という思い込みをしてしまうもの。これを心理学では「フォールス・コンセンサス効果」と呼ぶそう。だから、相手がいくら自信満々だからといって、言い分をそのまま受け入れてしまってはいけない。「それはあなたの主観でしょ?」のスタンスで臨もう。

■押し切られそうな流れになったら「延期の戦術」

 人間は雰囲気に流されてしまうもの。言い返せない雰囲気の中で反論するのはマウンティング「しない」族であれば、相当難しい。

 では、どうするべきか。結論を先延ばしにしてしまえばいいのだ。時間をとってゆっくりと考える、これだけで空気は一度リセットされ、冷静に対応することが可能になる。

 スポーツの世界であれば、これはよく見る光景だ。例えば、野球の試合で一打逆転サヨナラのピンチの場面に、タイムをとってマウンドに集まる。動きを再確認するという意味もあるが、何よりも悪い流れを一度断ち切るためにタイムが使われることもあるのだ。

 だからこそ、早急に答えを求められたとしても「一度持ち帰らせてください」とタイムをとって対応しよう。

■知識自慢のあの人をしどろもどろにする方法

「そんなことも知らないの?」と言われたら「うるさい!」と一喝できればどんなに楽だろう。しかし、そんなことはできないので、「えへへ」と適当に愛想笑いで逃げるしかない。

 そんな場合、いっそのこと「教えて」と言ってしまうのがいいそう。「教えて」と言いにくい場合は「聞いたことはあるんだけど…」という言葉を付けると言いやすくなるというので実践してみるべし。最後は「すごいね!」「よく知ってるね!」と賞賛を送れば、場の空気を支配できる。

 もし、しつこく知らないことについてネチネチ攻撃してくる輩だったら、ひたすら質問で返す。

A「憲法9条知らないの?」
B「どんなのだっけ…教えて?」
A「戦争の放棄でしょー?知らないの?」
B「よく知ってるね。ちなみに憲法って何条まであるの?」
A「え、それはちょっと…」
B「9条以外にはどんなものがあるの?」

 このように質問を続けていれば、いつか相手が「わからない」と言わざるを得ない状況に持ち込むことができる。その時点で攻守が逆転し、こちらが主導権を握れる立場に。知識をひけらかす人には質問で言い返してみよう。

 以上のように本書には、マウンティング族を黙らせる様々なテクニックが紹介されている。実践できれば力強い武器になるはずだ。

 しかし、注意しなければいけないのは、武器を悪用して、逆に自分がマウンティング族となってしまうことだ。あくまで防衛の手段として、本書のテクニックを使ってほしい。マウンティングされる“ツラさ”は我々が一番知っているはず、なのだから。

文=冴島友貴