2020年に教育界で何が変わる? 脱・暗記受験! 言われなくとも“進んで勉強する子”になるには?

出産・子育て

公開日:2018/2/3

『開始5分の「振り返り」から子どもの学力はぐ~んと伸びる!』(明光2020教育改革室/主婦の友社)

 2020年に教育界は大きく変動します。小中学校の教育指導要領が全面改訂され、さらに大学入試も様変わりします。そのひとつが、センター試験に代わり「大学入学共通テスト」が開始されることです。
 今年(2018年)4月に高校に入学する子どもたち以降に、この大学入学共通テストが実施されます。これまでとは、何が変わるのでしょう。センター試験との主な違いは次の通り。

【大学入学共通テストの主な特徴】
・国語、数学に記述式問題の追加
・「当てはまるものをすべて選べ」のようにマークシート問題の質の変化
・民間資格、検定試験の活用(TOEFL・TOEICなど)

 今までのセンタ—試験は、すべてマークシートで「正解は一つ」でした。けれども記述式や、複数選択の問題にすることで、多様な答えを求められるようになるのです。

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■暗記ではなく「答えなき解」を求める力

 これは個別の大学入試でも同様です。すでに東京大学や早稲田大学といった難関校では採用されていますが、自分の意見を述べる、記述式の問題が出題されること。
 例えば、英語の試験。ある問いに対して、自分は「どう思うか」を英語で答える問題などです。
 この動きに追随するように、公立の高校受験でも意見発信型の試験が出題されるようになってきました。

 今まで試験といえば、暗記。テスト範囲があって、その範囲を暗記すればどうにかなってきました。けれども、社会の変化に合わせるように教育の質も変化しています。

 ひと言で表すなら、「自らの力で『答えなき解』を求める」こと。

■今までにない発信力をどう身につける?

 多くの仕事がAIに取って代わると言われている未来、求められるのは、「言われたことをやる」人ではなく、「新しいことにチャレンジする」という人物像。
 その力を養うために、記述式や意見発信型という試験問題が採用されているのです。

 この教育改革で落ちこぼれないために、わが子にできることはないのでしょうか。その疑問にひとつの答えを示してくれたのが、YDK(やればできる子)でおなじみの大手学習塾の「明光義塾」です。
 明光義塾では、2020年の教育改革を見据えた新しい授業のスタイルを取り入れています。この度そのメソッドをまとめた書籍『開始5分の「振り返り」から子どもの学力はぐ~んと伸びる!』(明光2020教育改革室/主婦の友社)が発売されました。

■言われなくとも進んで勉強する子になるには?

 多くの親の頭を悩ませるのが、「意見発信型」問題や、大学入試・高校入試以前に、子どもが「勉強をしない」という問題でしょう。
 言わないとやらない、言ってもやらない、勉強してもすぐ飽きる…。
「なぜうちの子は自ら勉強しないのか?」

 それは“主体性”が身についていないからと、明光義塾は考えました。そして“主体性”が身につけば、2020年以降の試験形式でも、社会に出たあとでも、目の前にある課題をクリアできると言います。

 しかし、子どもが“主体性”を身につけるにはどうしたらいいのでしょう。
 それは、大人が一方的に「教え」ないこと。「教える」というよりも対話により「導く」。スポーツでいうコーチのような存在が必要とのこと。

 この「導く」学習を言い表しているのが、「アクティブラーニング」という言葉。これは先生が一方的に教えるだけではなく、能動的に学ぶ手法です。「主体的・対話的で深い学び」とも言われています。
 アクティブラーニングでは、「対話」が重視されています。対話とは、「友達との対話」「先生との対話」「自分との対話」の3つが含まれます。「対話」こそ子どもが“主体的”に学ぶ手助けをしてくれるのです。
 明光義塾では、アクティブラーニングを進化させ「振り返り授業」を行っています。

■振り返りの対話が“主体性”を伸ばす

 記憶を定着させるには、覚えたことをアウトプットすると良いとされています。同じことを「振り返り授業」で行います。
 まず授業が始まったら、前回の授業を振り返ります。どんな学びがあったのか、生徒が自分の言葉で説明します。
 そしてその日、授業で学ぶことを講師と対話し確認。課題があればそれに取り組みます。先生が教えるのではなく、自分でまず問いを解くのです。
 分からないときは、講師による「足場かけ」と呼ばれるヒントが出されます。そして答え合わせ。

 この答え合わせでも、生徒が振り返りをします。なぜ「そのプロセスで解いたのか」「気付いたこと」「分かったこと」を発信します。
「振り返り」は、授業が終わった後にも続きます。「学び発見!振り返りシート」を記入し、さらに学習を強固にします。今日の授業で自分が「分かったこと」「まだ分からないこと」これを紙に記述します。

 このように、「問い」と「振り返り」を授業中に何度も行う、「生徒が主役」の学習を行うと、ある変化が見えてくるそうです。

「できた!」「わかった!」の達成感の連続。勉強に楽しさを見いだすのです。そして「自ら学ぶ」姿勢が顕著になってきます。

■「生まれて良かった」と思う人生の歩み方

 先生が一方的に話し、丸暗記で覚える。受け身な学習は、今まで見たことのない問題が出されたとき、頭がフリーズしてしまう原因にもなります。それでは社会へ出たときに活躍できる人材とは言えないでしょう。

 この「振り返り」のメソッドは、塾に通わなくとも使えます。「今日習ったことを教えて」と家で対話すること。また、独自に「振り返りシート」を書かせてみてもいいでしょう。どのような「振り返り」が学習を促すのか、詳しくは本書でご確認を。

 この本はいわゆる受験本とは異なります。「生まれてきて良かった」と思える、主体的に人生を歩むヒントが記されています。
 子どもの学びに迷いを感じているなら、ひとつの突破口になるかもしれません。

文=武藤徉子