「電車が好きな子」はかしこくなる! なぜ鉄道は“最強ツール”なのか?

出産・子育て

2018/2/13

『電車が好きな子はかしこくなる 鉄道で育児・教育のすすめ(交通新聞社新書)』(弘田陽介/交通新聞社)

 筆者には、年子の兄がいる。幼少期、同じ環境で育ちながらも、筆者と兄には大きな違いが生まれた。それは兄が早々に、電車大好き「鉄っちゃん」になったことだ。両親は兄に芽生えたそんな好奇心を大いに支援。結果、小学生時代の愛読書はJR時刻表で、日本全国のJR路線はすべて掌握。周囲の大人たちからも、“歩く時刻表”として、旅行プランを立てる際は重宝される存在となった。

 しかし鉄っちゃんを子にもつ親の中には、「オタク気質の人間になったらどうしよう」と不安になる人もいるという。そんな人たちに「いいえ、電車を好きになることは、子どもを賢くさせます」と、教えてくれるのが『電車が好きな子はかしこくなる 鉄道で育児・教育のすすめ(交通新聞社新書)』(弘田陽介/交通新聞社)だ。

 著者の弘田陽介氏は、福山市立大学大学院で教鞭をとる教育学の准教授。本書では、「発達心理学」の知見をベースに、電車好きが子どもを賢くする理由について、さまざまなデータを交え解説する。中でも重要なキーワードとなるのが「認知スキル」(記憶力、理解力、未来予測能力など)と「非認知スキル」(協調性、思いやりなど)で、これが「賢くする理由」のメインパートとなっている。

 著者によれば、特に東京の電車環境は、世界でも屈指の認知スキル向上スポットだという。東京では、JRは路線によって違うカラーリングが施され、さらに私鉄や地下鉄など、それぞれに個性的な外見の電車が数多く交錯している。

 鉄道が好きになった子どもたちは、こうした電車群を見たり電車に乗ったりしながら、「似ているけど違う電車」と認識し始め、地上と地下や特急と各駅など、さまざまな秩序があることを発見する。さらに知能の発達段階に合わせて、電車のモデルタイプや名称など、さらに詳細なカテゴリー分類をして脳の発達を活性化させていると、著者は指摘している。

 ちなみに、電車が好きになる傾向は、「1~3歳の男児」に顕著なのだそうだ。そして、この年代に認知スキルが発達することは、興味の対象が変わればその分野でも応用できるため、その後の成長においても大いにメリットがあるという。

 もうひとつの「非認知スキル」の育成について、著者はまず、「愛着の形成」をあげている。それは鉄道に対する愛着と同時に、電車好きを支援してくれる親であれば、同じ興味を共有できることで、親への愛着もより深まるのだという。

 他にも、電車のおもちゃ遊びなどを友達と楽しむことで、思いやりや協調性なども身に付き非認知スキルを高めていくことができるという。

 また著者は、今年から幼稚園で始まり、2020年以降、小学、中学、高校に順次導入される、新学習指導要領の話題も取り上げ、「認知スキル」「非認知スキル」をともに向上させることが、いかに新たな教育改革の方針ともマッチした教育材料であるかを解説している。

 他にも電車が提供する、児童教育上のメリットをさまざまに記す本書。もちろんそこには、親の協力が不可欠である。もし、我が子が電車好きなら、本書のアドバイスを参考にして、その好奇心を大いに育んであげてほしいものだ。

 一方、もし筆者のように、関心が鉄道よりスポーツにいったという子どもの場合は、無理に鉄道を押し付けず、そっと見守っていただきたい、とも願うのだった。

文=町田光