1クラスに3人も!? 字が書けない障がいがある子とその母の二人三脚奮闘記

出産・子育て

2018/2/25

『うちの子は字が書けない 発達性読み書き障害の息子がいます』(千葉リョウコ:著、宇野 彰:監修/ポプラ社)

「発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)」をご存じですか? 黙読はできても音読ができなかったり、音読ができてもそのスピードが遅かったり、漢字や仮名の形を思い出すことが難しかったりする発達障害の一種です。先天性の場合がほとんどで、知能に問題はなくても、読み書きの能力だけ、特に困難を示します。

『うちの子は字が書けない 発達性読み書き障害の息子がいます』(千葉リョウコ:著、宇野 彰:監修/ポプラ社)の著者、漫画家の千葉リョウコさんの長男フユくんは、小学6年生のときに発達性読み書き障害と判定されました。本書はフユくんの判定の場面から始まる、実体験をもとにしたコミックエッセイです。判定以前の様子から、トレーニングのこと、高校受験、将来を見据えるところまで、フユくんと千葉さんの奮闘ぶりがつぶさに描かれています。

 本書に掲載されている日本の小学1年生から6年生までを対象とした調査によると、発達性読み書き障害の子どもの割合は40人学級におよそ3人。かなり高い確率で出現する障害といえます。一方で、発達性読み書き障害の認知度は今のところとても低く、通常学級の先生はもとより、特別支援学級の先生にさえ知られていない場合があるといいます。さらに、発達性読み書き障害は身近に接する親でも気づきにくい障害ともいわれているのです。その理由はどこにあるのでしょうか。

 フユくんも判定までに時間がかかりました。幼いときから絵本を読み聞かせてもらうことが大好きだったフユくんは、知能に問題がなく、九九など読み書き以外のことはできる子でした。何か障害があるとは考えづらい状況です。また、大多数の日本人と同じように「ひらがなやカタカナは普通に誰でも書ける」と千葉さんも思っていました。読み書きのみができない発達性読み書き障害のことを知らなかったのですから当然です。

 こうしたことから、特別支援学級の先生も母親である千葉さん自身も、発達性読み書き障害になかなか気づけませんでした。その分、フユくんにつらい思いをさせてしまったと千葉さんは思ったそうです。千葉さんがフユくんの障害を漫画にしようと思ったきっかけはここにあります。発達性読み書き障害について知られるようになれば、フユくんと同じように努力しても字が書けず、その原因もわからないままつらい思いをしている子が救われるかもしれない。また、障害のあるなしにかかわらず、発達性読み書き障害を知って考えてもらうことで、

苦手なことを補ってもらう
自分もまた他の人の苦手なことを補う
そうやって助け合う

という世の中になっていくかもしれない。そうした千葉さんの願いも本書には込められているのです。

 本書ではコミックエッセイのほか、フユくんの字の変化や作文、自作のトレーニングカードなども紹介。監修を務めた宇野彰筑波大学教授に発達性読み書き障害について教えてもらう対談も掲載されているため、この障害の詳細を知ることができます。フユくんをはじめ、誰もが前を向いて進んでいけるように…そんな思いも込められた本書で発達性読み書き障害を学んでみませんか。

文=寺島和美