この男…何者!? 天然パーマの大学生が、語りまくって事件解決! 田村由美新作『ミステリと言う勿れ』
公開日:2018/3/17


殺人の罪を着せられた大学生の久能。取調べが始まるも、
巧みな話術で刑事たちを翻弄の初日。

とにかく語りまくる久能。なぜか刑事と仲良くなる。

まだまだ語る久能。時には、女性刑事の悩み相談にものる。

物的証拠が出て大ピンチ!鋭い洞察力と、すっかり仲良くなった刑事たちの協力のもと、反撃準備!

強烈な印象を残し、警察署を無事に追い出される。
いかに無実を証明したのか?そして、次なる事件に巻き込まれる??
平和に生きていた大学生・久能がどういうわけか、殺人の濡れ衣を着せられ、警察署で取調べを受けるところから始まる本作。
しかし、彼は只者ではなかった。類まれな会話力と、洞察力をもって堂々と刑事たちと対峙し、理論整然と自身の無実を主張する、と思ったら、刑事たちとの雑談にも応じて仲良くなってしまうような不思議な青年。
とにかく、ありとあらゆることを語る語る語る……。
そして、よく聞いてみるとなんだか深い。徒党を組んで悪事をはたらくおじさんたちを阻止するにはどうするか、なぜ娘は自分の父親を嫌うのか、ゴミ出しは、どこからがゴミ出しか?
作中に登場する刑事たち同様、いつのまにか彼の話に聞き入ってしまう(?)自分に気づく。
舞台は、ほぼ警察署内の取調室なのに、まったくその狭さを感じない。会話だけでここまで話に幅をもたせ、一気に読ませるとはさすがの一言。会話劇としても抜群に面白い!
Episode2では、不運にもバスジャックに巻き込まれた久能クン。犯人に「なぜ人を殺してはいけないのか」と議論を吹っかけられ、逆にやり込める様子は必読。この彼の言葉は歴史的名回答だと思う。
(C)田村由美/小学館