3月17日、JR九州が100本以上の列車を削減…廃線につながる“負のスパイラル”から脱却できるのか?

文芸・カルチャー

2018/3/22

 鉄道ファンにとって春は気になる季節だ。この時期に列車の運行時刻の変更、つまりダイヤ改正を行うことが多いからである。中でも注目されるのはやはりJRグループだろう。なにせ全国規模なのだから。国鉄時代とは違って、現在は6つの旅客鉄道会社とひとつの貨物鉄道会社に分かれているけれど、新幹線を筆頭に他社の線路に乗り入れる列車も多く、同時に改正することが多いようだ。

 ただ昔と違うのは、ダイヤ改正によって列車が増えるのではなく、減ることが話題になってきたこと。今月17日に実施される改正では、JR九州で100本以上の列車が削減されるというニュースが話題になった。JR九州と言えば、2013年にクルーズトレインの元祖と言える「ななつ星in九州」を走らせ、2016年にはJR東日本、西日本、東海に続いて株式上場し完全民営化を果たした。こうしたニュースが続いただけに、今回の100本以上の削減発表は衝撃的だった。

 少し前に両備グループのバス路線廃止を取り上げたコラムでも触れたように、現在日本の多くの地域では人口減少が進んでおり、公共交通を利用する人も減っている。だから列車も間引くという論理なのだろう。

 東京都内に住む人にはピンとこない出来事かもしれない。たしかに小田急電鉄では同じ3月17日、代々木上原〜登戸間の複々線化が完了したことに合わせてダイヤ改正を行い、平日朝の通勤時間帯の本数が21本も増え、所要時間も短縮するからだ。しかし同じ東京都の西部を走るJR東日本青梅線、隣の千葉県で房総半島を巡る内房線・外房線では本数が減る。首都圏であっても他人事ではない。

■コストを抑えながらも本数を増やした富山市の例

 乗る人が減ったから列車も減らす。需要と供給の関係から考えれば正しい。でも本数が減ると、不便だからという理由で自動車移動にシフトすることもある。鉄道離れが加速する可能性がある。そうやって負のスパイラルに突入し、廃止された鉄道は少なくない。

 ではどうすれば良いか。日本で公共交通改革というとまず名前が上がる都市であり、筆者も書籍「富山から拡がる交通革命」で紹介したことがある富山市の実例を2つ紹介しよう。

 ひとつは富山交通改革の代表格と言える富山ライトレールだ。この路線はもともとJR西日本富山港線というローカル線で、廃止が議論されていた。しかしまちづくりのために鉄道は必須と考えた市長はLRTへの転換を決断する。

 第3セクターの会社を作って線路を継承し、北陸新幹線開通に伴う富山駅の立体交差化事業の補助金を活用して予算を抑えつつ、平日昼間1時間の本数は2本から4本に倍増し、3つの駅を新設した。一部の駅にはパーク&ライド駐車場を作り、バス路線も用意した。その結果、富山ライトレールの利用者はJR時代の約2.5倍という、驚異的な数字を達成した。企業努力で需要を掘り起こしたような感じだ。

 もうひとつは富山駅と岐阜駅を結ぶJR高山本線。こちらはJR西日本が管理する富山市内の区間で本数増加の社会実験を行なった。増発分の費用を市が負担する代わり、増収分をJRから返還してもらう取り決めを結び、新興住宅地が広がる場所には新駅まで作った。こちらも一定の成果を上げた。県内のJRローカル線が利用者減少に悩む中、上昇に転じたのだ。よって臨時駅扱いだった新駅は常設に格上げされ、本数はおおむね社会実験時のレベルをキープしている。

 どちらもコストをきちんと考えながら本数を増やした。それを鉄道会社ではなく自治体主導で進めた。その結果クルマで移動していた人を公共交通に引き込むことに成功した。

 人口減少が当たり前の今の日本で、鉄道会社単体で問題を解決するのは難しいと考えている。地元がいっしょにアイデアを出し合い、使える交通に育てていくのが大事ではないか。鉄道会社に文句を言うだけでは未来は生まれない。

文=citrus モビリティジャーナリスト 森口将之