「不倫」に必要なのは覚悟と潔さ! 不倫の恋に生きるリアル
公開日:2018/4/8
「不倫の恋が成就する事はめったにない」らしい。それでも「不倫」がなくならないのはなぜだろうか? 「不倫の恋に生きるとはどういうことなのか」をリアルに綴った1冊が『不倫の作法』(さらだたまこ/牧野出版)である。さらだたまこ氏は放送作家として活動する傍ら、女性のライフスタイルや食文化をテーマとした執筆活動を展開している。
連日テレビや週刊誌を賑わす有名人の不倫騒動。“ゲス不倫”に始まり、妻の介護中の小室哲哉の疑惑、自ら公言した小泉今日子と、ますます「不倫」に注目が集まっている。本書には「秘密が大原則」のため、なかなか知る機会のない恋の顛末や当事者の心模様が、著者や思いを共有した友人のエピソードを通して綴られている。
さまざまな葛藤と闘わなければならず辛く苦しいものに思えるが、しかしどこか非現実的で、映画や連ドラのワンシーンのように感じるのは、それだけ「不倫の恋」がドラマチックだということだろうか。
著者は、不倫を経験してから、恋に挑む時の基準が「実るか実らないか」から「ときめくかときめかないか」に変わったと述べる。不倫を推奨はしないけれどと前置きしながら、「妥協と打算だけで選んだ結婚と比べて、ときめきが詰まった恋の果実のほうがどれだけ美味しいことか。あの高揚感は一生忘れない宝ものになって思い出の中で甘く実り続けている」と語るのだ。
しかしやはり不倫は苦しく辛いものだろう。何年も守り通した大人の恋は、「妻にバレたからもう会えない」「妻が死ぬと言っている」などと、突然切り捨てられるというのだから。
男が妻と別れて不倫相手と結婚したいと思ったことに嘘はないのだが、離婚に費やす膨大なエネルギーが出せないことで、ずるずる先延ばしにするというのが、多くの不倫カップルの現状らしい。「報われない恋に潔くサヨナラするのが大人の女の作法だ」と著者は述べるが、不倫に大人の女の作法があるなら、男にも作法が必要だろう。しかし本書のエピソードを見る限り、男の作法は、妻ファーストにみえる。
既婚者に恋をしても成就する確率は極めて低い。妻子を傷つけ修羅場を迎え、愛が消えた後には後悔と憎しみが残るかもしれない。「しかし、どんな結果に終わっても人生の糧になることを見出すことができたら、そこに救いはある」と著者は述べる。不倫の恋のリアルを詳らかに明かし、それでも「覚悟」はあるか?と問いかける本書は、渦中にある方はもちろん、不倫未体験の女性にもオススメしたい1冊である。
文=泉ゆりこ
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