あの「拘束具」を全部自分で作ってみたら……

エンタメ

2018/5/2

『ふたりで楽しむ! ハンドメイド拘束具』(ポストメディア編集部/一迅社)

 バイエル薬品が2016年に行なった「SEXの頻度と時間」に関するレポートによると、理想的なSEXの頻度を男女合わせて65.8%が「1ヶ月に1度以上」と回答しているにもかかわらず、現実には「1ヶ月に1度以上」は40.6%止まりだという。間隔が空いてしまうと誘いにくくなって、そのまま年単位でセックスレスとなりかねない。そこで私が紹介したいのが、この『ふたりで楽しむ! ハンドメイド拘束具』(ポストメディア編集部/一迅社)である。手錠・足かせ・三角木馬など、名前を知ってはいるけど実際に見たことは無いであろう拘束具を、2人で手作りするのだ。一緒に過ごす空間を、協力して日曜大工よろしく自分たちで作ってみれば、新たな恋人・夫婦関係を築くキッカケになるのではないか。

 本書を開くと初めのほうに「安全に楽しむために」と諸注意が書かれており、「道具の種類と使い方」としてノコギリやカナヅチが図解で示されている。なにやら、小学生の頃に読んだ工作の本を思い出す。本書は初級編・中級編・上級編と三つのステップで構成され、初級編もまた簡単な物から段階を踏んでいく。小学生時代には、つい背伸びして本の後半にあるような難しい工作に挑戦し挫折してしまった苦い経験があるので、まずは最初に載っている「指錠」から試してみることにした。

 本書を買ってきた段階で奥さんに呆れられつつも、ホームセンターには虫除けなどを買う用事があったので一緒に出かけることとなった。アダルトショップに誘うよりは、だいぶハードルが低いと思って油断したのがパーツ選びだ。店員に金属製のホースバンドの売り場を尋ねて案内してもらったところサイズを訊かれ、つい「親指が通るくらい」と答えてしまった。とんだ羞恥プレイである。そんな恥ずかしい思いをして作った「指錠」は、安全第一の本書に従い、指に当たる内側にスポンジを接着剤でつけたとはいえ、工作と呼ぶまでもない簡単な物。見た目が手錠より安心感があるから、パートナーもちょっと試してみようという気になるだろう。しかし、実際に両手の親指を通してみると、腕に力を入れにくく意外なほど拘束感があった。



 中級編には洋風と和風の磔台があり、材木の寸法や組み合わせ方など分かりやすく解説されている。上級編ともなると、拘束具であり拷問具でもある三角木馬や、処刑に使うギロチン(もちろん刃はベニヤ板で代用)といった大掛かりな物が載っていた。興味はあるものの、まだ初心者であることだし、初級編から拷問具の一つ「乳挟」を作ってみることにした。ところが、100円ショップにでも寄ればすぐに見つかると思っていたオモチャの熊手を探すのに、予想外の苦労が。胸のサイズに合わせようと思うと、ちょうど良いサイズの物が見つからないのだ。かくして100円ショップをハシゴし、自転車での移動はいつの間にか久しぶりのサイクリングとなった。

 奥さんに横から「楽しそうねー」と棒読みで言われながら「乳挟」を完成させてみると、作る面白さとともに悪戯心も湧いてきて、なにやら童心に返る思いがした。気持ちが若返るとでも云うか、そんな感じである。本書によると、「乳挟」は古代の中国で使われていたそうで、急拵えのため今回は雑になってしまったが塗装などを工夫して、より雰囲気のある物にしてみるのも良いだろう。



 今になって嫌なことに気づいたけれど、「乳挟」は男の下半身を掴むのにも使えそうなデザインだ。そして、偉い心理学の先生が虐めと遊びの違いを「一方的なのが虐め。立場が入れ替わるのが遊び」と説いているのを思い出した。心理学的には、肌を触れ合う機会が減るとカップルの関係も離れてしまい、ストレスへの耐性が弱くなるばかりでなく、免疫力が落ちて健康を害するなんて説もある。2人がともに健康的に末永く過ごすため、このちょっと変わったD.I.Y.を試してみてはいかがだろうか。お互いに立場を入れ替えてみると相手の新たな面を発見して、2度目の出逢いをするかもしれない。

文=清水銀嶺