高学歴モンスターのやっかいな生態 「このハゲーっ!」と言われたらどう対処すればいい?

社会

公開日:2018/5/11

『高学歴モンスター 一流大学卒の迷惑な人たち』(片田珠美/小学館)

“超”が付くほど高学歴で輝かしい職についた人間が、ある失態でその地位を失ってしまう様子をニュースやテレビなどでしばしば見る。彼らやその状況には何か心理的な共通点があるのだろうか。

「高学歴で輝かしい経歴の持ち主が、暴言を吐いたり、周囲を振り回したりするケースが後を絶たない」というのは精神科医の片田珠美氏。著書『高学歴モンスター 一流大学卒の迷惑な人たち』(小学館)では、周囲に迷惑をかける高学歴の人間たちの精神構造を分析し、対処法を解説している。

■高学歴モンスターの困った習性とは?

 もちろんのこと、高学歴の人間が皆、周りに迷惑をかけているわけではない。しかしながら、高学歴であることで周囲を振り回す人間たちが存在するのはおそらく誰もが承知しているだろう。

advertisement

 彼らの共通点は「自覚の欠如」だと著者は言う。それも無自覚型の「ナルシシスト」だそうだ。具体的な特徴は以下の通りだ。

(1)人の反応に気づかない
(2)傲慢で攻撃的
(3)自己陶酔
(4)注目の的でいたい
(5)“送信機”はあるが“受信機”がない
(6)他人の気持ちを傷つけることに鈍感

 5番目に挙げた「“送信機”はあるが“受信機”はない」について、著者はこう説明している。

「自分がいかに優秀で、どれだけすごい経歴と実績があるか認めてほしいという承認欲求が強すぎ、発信ばかりしている。だから、相手がそれをどのように受け止めるかに想像力が働かない。いや、そもそも想像してみようとさえしない」

 自分が優秀であることは常に意識していて、それなのにうまく行かないことがあると混乱し、暴言を吐いたり攻撃的になってしまったりしてしまうのだろう。「(自分は)優秀なのにうまく行かない」「周囲がそれを理解した動きをしてくれない」となって、子どものようにぐずってしまう。

高学歴モンスターに効く対処法はあるのか?

 それでは、そんな少数だが確実に存在する「やっかいな人たち」にはどう対応すれば良いのか? 心得るべきポイントは2つだ。

●学歴を過大評価してはいけない
●高学歴モンスターを変えるのは無理

 やっかいな高学歴モンスターに出会ってしまったら、この2点をしっかり念頭に置いて対応することだ。本来は彼らに近づかないのがベストなのだろうが、仕事や付き合い上どうしても顔を合わせなければいけないこともあるだろう。

 また、「高学歴の人はなんでも知っていて仕事もできる」と思いがちだが、そうではない可能性も考えておくべきだろう。コミュニケーション能力や協調性は、学歴では測れない。高学歴の人が言うこととやることが正しいと思い込んでいると、面倒なことに巻き込まれてしまうかもしれない。

 そして残念ながら、モンスターは変わらないらしい。彼らは「無自覚型」のナルシシストだ。彼らを変えようと周囲が努力するのにも骨が折れるだろう。そんな労力を使わずに、スルーしておいたほうが確かにずいぶん楽だ。他者は簡単には変わらない。それが無自覚で人を振り回している人間相手であればなおさら難しいだろう。

 繰り返しになるが、高学歴であることは悪いことではない。むしろ、本人が努力した結果や証しである。だが、高学歴であることを鼻にかけて周囲を振り回している人がいれば要注意。彼らの見下しグセ、自己保身に悪影響を受けているなら、今のうちに距離を置くことが大切。暴言を受けてからでは遅いのだ。やっかいな存在から身を守る賢さも、社会を切り抜けていくには必要である。

文=ジョセート