子どもに「そのぐらい思いつくよ」と言われるようじゃ負け。『かいけつゾロリ』作者原ゆたかさんの密着番組に「原先生、キュート」「なつい」と大反響!

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2018/5/13

 小学校の図書館では全巻貸出中、ボロボロになるまで読まれているという大人気の児童書シリーズ『かいけつゾロリ』。小学生が「朝の読書」の時間に選ぶ本のランキングで11年連続医書館や学級文庫で取り合いになるほどの人気のようだ。5月5日の子どもの日に作者・原ゆたかさんの密着番組がNHKにて放送された。

 放送前、番組の紹介ページで原さんは「いっぱい取材され、ほかの人にどう映るのか、とても不安です。もしこれを見て原ゆたかを嫌いになっても、ゾロリとイシシ・ノシシのことは嫌いにならないでくださいね」と心配そうなコメントを出していたが、放送後には、Twitterで「原ゆたか先生がキュート! そりゃこれだけ長く愛される本が生み出されるわけだわ」「小学生の時に読んでいた漫画なつい。いい話だったな」「母娘で見た。母は懐かしすぎて涙ウルウル」「昔、ゾロリのおかげで本に親近感が持てた」「“全巻読んで原先生の弟子になる!”と子どもが目をキラキラさせてテレビ見てる。原先生ありがとう!」「子どもと共通の話題があるのは本当に楽しい!」など、新旧ファンによる心あたたまる感想が数多く寄せられていた。

 番組では、子どものころにゾロリを愛読していたという中川翔子さんが番組ナレーションを務め、アトリエを訪れる場面では画面にゾロリやイシシ、ノシシも登場。山寺宏一さん(ゾロリ)・愛河里花子さん(イシシ)・くまいもとこさん(ノシシ)というアニメでおなじみの豪華声優陣のキャスティングもファンの間で話題になった。『かいけつゾロリのドラゴンたいじ』から始まったシリーズは今年ついに31年目に突入。7月に発売される63巻目は今だからこそ描ける『かいけつゾロリのドラゴンたいじ2』になるという。新刊の制作風景からは、あのワクワク・ハラハラの「かいけつゾロリ」がどうやって生まれるのかが紹介された。

7月4日発売

 本の表紙は多くの人の目に止まる大切なものだけに、原さんは奥さんの原京子さんの客観的な意見を取り入れながら、「子どもに分かりやすいもの」を心がけて作っているそうだ。ストーリーは、下書きのカードを並べ替えながら作りこむ。見開きの最後には、次々とページをめくりたくなるように「そこには」「そして」などの言葉をよく使う。「お話ってワクワクしてページをめくること。わ! もうこんなにページ少なくなっちゃった! って思わせることが、本を読ませるってこと」と、こだわりを話す。

 ピンチに陥ったゾロリを描く場面は特に工夫が凝らされている。頭をひねらせ複数のアイデアを出し、その中からベストをチョイスしていく。「そこにギャグを入れたりして、子どもを『えー!』って驚かせるくらいが勝ち。『そのぐらい思いつくよ』と思われたら負けかな」と、子どもたちに向ける想いは強い。本嫌いな子でもゾロリなら読む、魔法の本と言われる所以は、こういった工夫に理由がありそうだ。

 番組では少年時代にも注目し、原さんが、子どものころに遊んでいた公園や通っていた小学校を訪問。「ペンキ塗りたての遊具に乗っかって怒られた」というイタズラ好きな少年のころから絵を描くのが好きで、学級新聞に4コマ漫画を描いていた。読書については、大人たちからすすめられた本をがんばって読んだのに最後までつまらなくて絶望感を覚え、本が嫌いになった。

 そんな原さんが、「もし僕みたいな子がいたら…」と、子どもたちが楽しんで元気の出る本を作りたいという想いで描いているのが『かいけつゾロリ』だ。20代のころ、子ども向けの本に挿絵を描く仕事を始めたとき、もっと面白くしようとストーリーにも口を出していたら自分で書くことに。好きだった映画『インディ・ジョーンズ レイダース 失われたアーク』などに触発されて「ページをめくる手が止まらない」ゾロリの世界を作り始めた。学校の先生は、ギャグやオナラでピンチを乗り越えていくゾロリにいい反応を見せなかったが、熱中する子どもたちを見るにつけ、「本好きになるとっかかりになってくれたら」と見方を変えた。主人公のゾロリと同じように、このシリーズ自身も数々のハラハラを乗り越えてきたというわけだ。

 発売から30年、「本嫌いの子どもたちの同級生の立場で書いてきたつもり」と語る原さんは、どうやって子ども心を持ち続けているのだろうか。番組では、原さんが子どもたちが集まるような場所に出かけている様子を紹介。駄菓子屋で珍しいお菓子を探して「大人買い」したかと思えば、そこで出会った小学生に「『かいけつゾロリ』知ってる? 僕が書いているんだよ」と話しかけて驚かせることも。サイン会やお絵描きワークショップでも子どもたちに囲まれながら、誰よりもワクワクした表情を見せていたのが原先生だ。

 「イヤなことがあって、めげちゃうとそこで終わりだけど、ワハハと笑って『次は何の手があるだろう』って先に行く。ゾロリも毎回うまくいかないけど、でも最後のページで『これはオレのものではなかったから 次へ旅立つぞ!』という前向きさを、子どもたちも分かってくれているのかな」。どんなピンチがあっても面白い発想で乗り越えるゾロリのように、子どもたちがどんなときにも明るくがんばってくれることが原さんの願いだ。たくさんの子どもたちの心の糧となっている『かいけつゾロリ』。次は、3世代で読み継がれるようになることを願いたい。

文=吉田有希

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中川翔子さんコメント
NHK「かいけつゾロリ~作者・原ゆたかのハラハラのひみつ~」