夫婦の危機を救う「選択理論」って? ネコの夫婦から学ぶ結婚生活を円滑にする「心理学」

恋愛・結婚

2018/5/16

『ネコの選択 心理の神さまに愛を学んだレオとモモの物語』(田中渉/アチーブメント出版)

 別れたくないのにケンカばかり。愛情はあるけれど、良好な関係が築けない。そんな解決方法の分からない「危機」に瀕している夫婦も多いのではないだろうか?

 夫婦は複雑だ。「愛情」だけではどうしようもない壁にぶち当たることもある。

 そんな「危機」から脱出する「スキル」があるとしたら……試してみる価値はあるはずだ。

『ネコの選択 心理の神さまに愛を学んだレオとモモの物語』(田中渉/アチーブメント出版)は、世界50カ国で夫婦の危機を救った話題の心理学「選択理論」を、ネコの夫婦を登場人物として平易に小説化し、分かりやすく説明している一冊である。

 真っ黒い毛並みのオス猫・レオと、真っ白い毛並みのメス猫・モモは、大恋愛の末に結婚した。しかし時を経て、「別れたくない」という想いはあるものの、夫婦ゲンカが絶えず、お互いに不満を抱き、傷つけ合う不幸な関係になっている。

 そんな時、レオとモモの前に現れたのが「何百何千といったカップルや夫婦の関係を観察し、データをあつめ、研究と臨床を重ね、幸せな結婚へ導く伝説のネズミ」だった。

 ネズミがレオとモモに教えたのは「選択(スキル)」。

 ネズミは2匹に簡単なテストを行う。それは彼らの「基本的な欲求」「重視している欲求」を明確にするものだった。

 選択理論とは、普段隠されている自分の欲求を意識することで、自分の選択した行動をコントロールできるようになるという考え方だ。これを応用し、相手の欲求を理解すれば、よりよい人間関係を築くこともできるようになる。

 自身の欲求をしっかりと意識した後、2匹はネズミに渡された「相手がしてほしいことリスト」を実行する生活を始める。

 リストの内容は「妻と会話のときは、名前を呼ぶ」「妻と一緒に食事をとる機会を増やす」や、「夫がいい仕事をしたときには褒める」「夫との約束は、どんなちいさい約束でも守る」など、それほど難しいものではない。

 レオとモモは半信半疑のまま、ネズミの言う通りにリストを実行していく。

 するとどうだろう。ストレスに溢れ、傷つけ合っていた2匹の関係は、徐々に改善されていき……というのがあらすじ。

 本作は物語と実用書が合体したような一冊だ。

 物語として「選択理論」を学ぶことができるので、分かりやすく内容が頭に入ってくることや、時間をかけずに読めることもポイント。また「絵本」のような雰囲気もあるので、変に生々しさを感じることなく、素直に「試してみよう」と思えるのも魅力ではないだろうか。

 もしこれが人間の夫婦の物語だったら、女性は妻に感情移入「し過ぎる」だろうし、男性も同じく、「夫寄り」になるだろう。もしくは「うちの夫はもっとヒドイ」とか、「俺の妻はちょっと違う感じだな……」とか、純粋に物語に入っていけなくなってしまう。猫の夫婦という「ファンタジー」にすることで、客観的に「選択理論」を学べるようになっているように感じた。

「愛」とは何だろう?

 本作で定義されているのは、「希望と恐れを分かち合う、しかも喜んで分かち合う気持ちのこと」と書かれていた。

 それを難しいと感じるか否かはあなた次第だが、もしあなたが自分の伴侶と「そういう関係になりたい」と願う気持ちがあるのなら、結婚生活は続けた方がいいだろう。その助けに、本作はきっとなるはずだ。

文=雨野裾