幸せは「ありのまま」の受容から始まる! 名セリフから学ぶ「人生の操縦席」の座り方とは?

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公開日:2018/6/9

『誰かのためも大切だけど、そろそろ自分のために生きてもいいんじゃない?』(旺季志ずか/学研プラス)

 あなたが今、この文章を読んでいるのはどんな時間でしょう。電車で移動中、それとも昼休み? あるいは家事や子どものお昼寝の合間にという人もいるのかもしれません。

 おそらく、自分以外の“人のために動く”ことを、ちょっとお休みしているときではないでしょうか。

『誰かのためも大切だけど、そろそろ自分のために生きてもいいんじゃない?』(旺季志ずか/学研プラス)は、「屋根裏の恋人」「ストロベリーナイト」「佐賀のがばいばあちゃん」「女帝」など、数々のテレビドラマを手掛けてきた人気脚本家である著者の初エッセイ本です。さまざまなドラマの名セリフとともに人間関係・恋愛・仕事のこと、そして本当の豊かさとは? 自分を大切にするとは? という人生の核心をつくテーマにわたり、著者の「不幸のデパート」時代も含めた半生を振り返りながら語ります。“自称「心」オタク”として、心理学や哲学の知見から培ってきた“人生を好転させる”考え方がわかる1冊です。

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 本書は、自分にも周りの人に対しても「ありのまま」を受け入れることの大切さから始まります。最初に男と女の考え方の違いが顕著に表れているセリフを紹介しましょう。このドラマの主役は不本意ながら“主夫”となった男性で、主婦たちの夫への愚痴ばかりの会話に不満を漏らします。それに対し隣に住む主夫の先輩が返したセリフです。

「解決策なんかいらないんだよ。ああやって愚痴言ってストレス解消してんの」
連続ドラマ「アットホーム・ダッド」より。2004年フジテレビ系列にて放送。
(省略)
 男性は、悩みを話すとき、解決策を求め、聞くときも具体的な解決策を提示しようとします。しかし女性は、解決策を提示されるとかえって混乱したり、戸惑ったりすることも少なくありません。
「話を聴いてほしい」
女性がそう言うときは、本当にただそれだけでいいのです。それがどんなにくだらなく思える愚痴でも、ただ「そうなんだ」と傾聴する。そうすると、それだけで、元気になっていくのです。

 確かに「言うだけでスッキリ」は、女性なら心当たりがあるのでは。解決策より重要なのは相手に「ありのままで受け入れてもらうこと」であり、それが心の安定に繋がるのです。この捉え方の違いで男女がぶつかり合うことは結構あるのではないでしょうか。男性にもぜひ知っておいてほしいところです。

 男女には考え方に違いがある一方で、別の章では「男性性」と「女性性」について解説があります。概要として、このふたつの性の「心理的・精神的な特質」は、既に男女ともに持ち合わせているのだそうです。

 恋愛だけではなく家庭や会社においてもひとりひとりが両性の特質をバランスよく働かせ、異性の考え方を理解し合うことこそが、現代の成熟しようとしている社会には、より求められる気がします。

 さらに自分の内面についても掘り下げていきます。著者は、自己の「意識の“ど真ん中”」が「人生の“操縦席”」と表現します。恋愛や結婚、仕事やお金は、目標となるだけで盲従するものではないはずですが、注意しないといつのまにか人生の操縦席を乗っ取られることがあるようです。

 その点、次のドラマのヒロインはしっかりと操縦席に座っているのが目に浮かびます。

「私、イヤなんです。自分の幸せが男で左右されるのは」
連続ドラマ「Wの悲劇」より。2012年テレビ朝日系列にて放送。原作:夏樹静子『Wの悲劇』(光文社)。
(省略)
存在感があり、輝いている人は、自分の「操縦席」を決して譲り渡しません。
「あなたのまま」で魅力的で、愛する人を惹きつける引力を持つためには、あなたの「ど真ん中」を、「あなた」という存在だけで満たすことです。そうすると、自分でも知らなかった「本当のあなた」があらわれてきます。

 この他にも著者の“どん底からすべてを手に入れる”体験に裏打ちされた名セリフと解説がたくさん収録されています。さあ、あなたもそろそろ、自分の人生の操縦席に座り“意識の旅”に出かけてみませんか。

文=小林みさえ