3年後「成功する人」と「しない人」の“週休2日の過ごし方”の違いとは? 【松下幸之助に学ぶ「ワークライフバランス」の本質】

ビジネス

2018/6/15

『超訳より超実践 「紙1枚!」松下幸之助』(浅田すぐる/PHP研究所)

 テレビなどの報道によれば、今年の新入社員のキーワードは「仕事とプライベートはきっちり分ける」だそう。

 ここ数年、「働き方改革」という時勢から、新入社員に限らず、いかに「ワークライフバランス」を整えてプライベートを充実させていくか。そんな価値観を重視するビジネスパーソンが、より一層増えてきているようだ。

 しかし、本当にこうした仕事観は「本質的な働き方」といえるのか?「仕事とプライベートの分割」という捉え方には、何か根本的な認識のズレがあるのではないか。

『超訳より超実践 「紙1枚!」松下幸之助』(PHP研究所)の著者であり、企業研修や講演などで活躍する浅田すぐる氏は、「松下幸之助の言葉に触れることで、何が本質なのかが見えてくる」と説く。

■週休2日制を導入したのはパナソニックが最初!?

 今年で創業100周年のパナソニックの創業者・松下幸之助は、1965年(昭和40年)、日本の企業として初めて「週休2日制」を導入した。著者の浅田氏は、自身が行う企業研修や講演の場で受講生に尋ねても、「へえ、そうなんだ」と驚く人が大半で、意外なほど知られていないという。だが、その事実を知っているかどうかは重要ではなく、大切なのは次の質問に答えられるかどうかだという。

「松下幸之助は、なぜ週休2日制を導入したと思いますか?」

「週に1日しか休みがないなんて肉体的にも精神的にもハードすぎるから」「プライベートをもっと楽しむため」「そうしないと充実した人生にならない」など、現在のビジネス環境をベースにした仕事観から見れば、こうした回答が並んでしまうのは致し方ないことなのかもしれない。

では、その答えとはいったい何なのだろう?

■松下幸之助の「1日教養・1日休養」

 松下幸之助のは「1日教養、1日休養」という名言を残している。松下幸之助自身の著書『社員心得帖』(PHP研究所)書籍から、内容を紹介しよう。

私どもの会社では、昭和四十年に完全週五日制に踏みきったのですが、それから半年ほどたったころ、私は社員につぎのような話をしたことがあります。

「わが社が週五日制になってから半年の月日がたったけれども、皆さんは週二日の休みをどのような考えで過ごしておられるだろうか。一日教養、一日休養というように有効に活用できているかどうか。二日間の休みを無為に過ごすのでなく、心身ともにみずからの向上をはかる適当な方法を考え、実行していただきたいと思う。

ただ、そのみずからを高めるというか、教養を高めたり、仕事の能力を向上させたり、あるいは健康な体づくりをすることと関連して、私は一つ皆さんにお尋ねしたい。それはどういうことかというと、ほかでもない。皆さんが勉強なり運動をするときに“自分がこのように自己の向上に努めるのは、ただ単に自分のためばかりではない。それは社会の一員としての自分の義務でもあるのだ”という意識をもってやっておられるかどうか、ということである。そういうことを皆さんは今まで考えたことがあるかどうか、また現在考えているかどうかをお尋ねしたいと思う」

そのとき、なぜ私がそのようなことを質問したのかといいますと、そういう義務感というものは、社員一人ひとりが常にもっていなければならない非常に大切なことだと考えていたからです。

『社員心得帖』

 要するに「2日の休みのうち1日は、自身の成長の機会にあてるため」。これが週休2日制導入の背景であり、なぜ自身を成長させる必要があるかといえば、「仕事を通じて社会に貢献する能力を高めるため」が答えだ。

 松下幸之助はそれを「義務」だと言っているが、あくまでも「仕事で成果を出すため」に休みを活用しようという前提認識が必要だという。

■「ワークライフバランス」の目的は?

 もし、「1日教養・1日休養」という松下幸之助の名言だけではピンとこない場合は、もう1つ、たとえば「ワークライフバランス」という言葉の本来の意味も確認してみよう。

「仕事とプライベートのバランスを上手にとること」と理解している人が大半かもしれないが、もう一歩認識を深めるために、ひとつ質問をしよう。

「そもそもなぜ、仕事とプライベートのバランスを整える必要があるのか?」

 答えは、「プライベートを充実させてより豊かな人生を送るため」ではない。シンプルに「仕事で成果を出すため」だ。そのために「ワークとライフのバランスを整えよう」というのが、この言葉の本質。もともと、「働き過ぎでライフの方がボロボロになっていると、結果的に生産性が落ちてワークにも支障がでてしまう」といったビジネス的文脈からキーワード化されてきた言葉が、「ワークライフバランス」なのだ。

 その軸足・スタンスはあくまでも「ワーク」の側にある。「仕事で成果をだすため」というのが目的なので、ライフの一部として「自らの能力を高める活動を行う」という発想も自然と生まれる。つまり、「1日教養・1日休養」と「ワークライフバランス」は、実は全く同じ仕事観をベースにして理解することができるのだ。

■給料がでない時間は、仕事に関わることはやらない!?

 こうした本質的な認識をしたうえで、週末のいずれか1日を勉強や自己研鑽に充てているようなビジネスパーソンが、今の時代いったいどれだけいるのだろうか。以前、浅田氏が、20代の若手社員に尋ねた際に、彼らから返ってきたのは、「給料をもらっていない時間に、仕事に関係することはやりたくない」「勉強は学生がやるものであって、勤務時間内ならまだしも、社会人にもなってプライベートで勉強なんておかしいと思う」「そういう意識高い系のキャラは周りから浮くので、今の時代にはもう合わない」といったコメントだったそうだ。

 もし松下幸之助が今も生きていたら、こうしたコメントにどんな返しをしただろう。

■3年後に絶望しないために

 仮に、仕事とプライベートをきっちり分けて、勤務時間以外はいっさい仕事に関する勉強をしないという人はどうなるだろう。3年後、「1日教養・1日休養」の精神で学習し続けた人に一生かけても追いつけないくらいの差がついてしまうかもしれないのだ。

 たとえ少数派だったとしても、松下幸之助の言葉や「ワークライフバランス」の本質をしっかり掴んでいる人は、どの時代にもどの年代にも一定数はいると浅田氏はいう。周りから“意識高い系”と思われようが、今日も淡々と自身の能力を高めるべく本を読んでいるかもしれない。

 あなたの周りにも、「仕事とプライベートはきっちり分けます」と公言してはばからない社員がいるかもしれない。だが、3年後を想像してみてほしい。その他大勢の一人として埋もれてしまうような仕事人生は耐えられないというなら、松下幸之助の言葉や本書を、ぜひ良い気づきのきっかけにして、「1日教養・1日休養」の精神で日々を過ごしてみてほしい。