「課長、体臭キツいです」と言えない人と組織のための加齢臭対策講座

暮らし

公開日:2018/6/29

『におわない人の習慣 最新版 加齢臭読本』(奈良 巧/草思社)

 突然だが、みなさんは「自分の体臭」に気づいているだろうか。これからはじまる蒸し暑い季節、男性も女性も体臭がきつくなりがちだ。きつすぎる体臭ははっきり言って周りの人に迷惑をかけてしまう。しかも、周りの人は「この人クサい」と思っているのに自分だけ気づいていないというのは実に恐ろしい話である。

 しかし実際は体と脳の機能によって、自身の体臭には気づきにくい仕組みになっているそう。大切なのはまず自分の体臭を意識して気づけるかどうかである。たとえば、自分がいままで着ていたシャツのニオイをかいでみてほしい。また、自分の頭皮を指でこすってその指のニオイをかいでみるとどうだろう。折りたたんだティッシュで舌を軽くぬぐってそのニオイをかいでみても、いずれも思ったよりもきっとクサいはずだ。

 意識していなかった自分の体臭がどんなものか分かったら、次にすべきなのがニオイ対策だ。そこで本稿ではみなさんのニオイ対策のお手伝いをする書籍『におわない人の習慣 最新版 加齢臭読本』(奈良 巧/草思社)を紹介したい。本書は「加齢臭と汗くささ」の基礎知識から、加齢臭が消えるセッケンと洗い方のコツ、さらに「他人のニオイ」の対処法まで、体臭についての幅広い知識をまとめた夏にぴったりの書籍だ。さらに、項目ごとに気を付けるべきポイントが簡単にまとめられているから役立てやすい。

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■加齢臭のもととなる皮脂分泌量のピークはいつごろ?

 加齢臭がいちばんきつくなるのは50代、それとも60代? いえいえ、正解は30代です。加齢臭のもととなる皮脂の分泌量がいちばん多いのが30代で、個人差はあるが、1分間で1cm×1cmの範囲におよそ7/1000mgから8/1000mgの皮脂が分泌される。これだけではピンとこない方も多いと思われるので、参考程度に10代が2/1000mg、20代が5/1000mg、40代が7/1000mg、50代が6/1000mgであるということを示しておこう。

 ほかの世代と比べてこれだけ多くの皮脂が分泌される30代のみなさんには特に、この夏からぜひとも対策をしていただきたい(もちろんそれ以外の世代の人もきちんと対策しましょうね)。

 そのために知っておきたい基礎知識だが、実は分泌されたばかりの皮脂はクサくない。時間がたつにつれて、この皮脂が古い角質や汗と混ざり合って酸素と化合、つまり酸化する。そして酸化した皮脂が細菌によって分解されることでイヤ~なニオイを発するようになるのである。このニオイのもととなるのがペラルゴン酸やノネナールという物質だ。いちばん皮脂の分泌量が多いとされる30代の人はペラルゴン酸がニオイの主な原因となり、40代の人の加齢臭の原因はノネナールなのだという。年齢によって原因物質が異なるというのはみなさんも初耳だったのではないだろうか。

 本書では、ペラルゴン酸やノネナールを中和するセッケンや「におわない頭皮・体の洗い方」などの要点を多数紹介しているのでぜひご参照いただきたい。

■他人の体臭が気になるときあなたならどうする?

 自分のニオイ対策はバッチリという男性、また私は問題ないという女性も気になるのが、「他人の体臭」だろう。会社の上司の体臭がきつくて困っているなんてことがあっても、「課長~、加齢臭きついっす!」とは言いにくいだろう。

 同僚や上司の体臭がきつくてもなかなか言い出せないという方々におすすめなのが、会社あるいは部署全体でもって「体臭についての啓発活動」をすることだ。個人をターゲットにして言いづらい場合でも、ちょっとしたミーティングや事務連絡の機会に、会社・部署全体に対して体臭に関する注意事項とニオイ対策のしかたを提案してみるとよいだろう(「梅雨時は生乾きの服のカビくささが気になるので、皆さん気をつけてください」のように)。

 それもなかなか勇気がなくてできないという場合には、マンダムが企業向けに行っている「においケアセミナー」などを活用するのもひとつの手だろう。プロの講師によるエチケット研修は、職場全体のために役立つはずだ。

 本書の著者である奈良氏いわく、この本を読むと読まないでは、これからの人生が変わるのだそう。それくらい体臭というのは人生やキャリアに大きな影響を及ぼす。わたしも自分の体臭をあまり意識したことはなかったが、これからの自分の人生のためにも本格的にニオイ対策を始めてみようと思う。

文=ムラカミ ハヤト