「貧乏老後」にならないために…ムダ遣いを避けるために見直したい、お金の使いグセ

生活実用

公開日:2018/7/10

『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)

 世界有数の長寿大国・日本。少子高齢化が叫ばれる中、統計をみると“人生100年時代”がまもなく訪れることが分かる。厚生労働省の「平成28年簡易生命表」によれば、今後90歳まで生きる人の割合は男性で約4人に1人、女性で約2人に1人という推計がある。さらに、国立社会保障・人口問題研究所の発表では、100歳以上の人口は、2050年には50万人にものぼる とされている。

 健康や生きがいなど、老後に思いを巡らせるとさまざまなキーワードも浮かんでくるが、やはり多くの人が気になるのは“お金”の問題だろう。定年を迎えてからはどのように考えるべきなのか。消費経済ジャーナリスト・松崎のり子さんの著書『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)は、老後に備えたお金の使い方や貯蓄の仕方を教えてくれる一冊である。

◎ムダ遣いを避けるため「お金の使いグセ」を見直す

 将来的に、年金の支給額は今よりも減額されるともいわれる。また、老後となると体力も衰えるため収入が減る一方で、生活水準を下げづらいとなると支出の割合が増えることも予想される。「年金生活に入るころには、現在の生活費の7掛け程度で暮らすのだとイメージ」するよう促す松崎さんは、手始めにまず、お金の使い方の“見える化”をすすめる。

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 例えば、日々の買い物でたまっていくレシートをチェックするのは第一歩。1週間やひと月分などをまず確認してみると、自分が果たしてどのお店によく行くのか、どれほどの頻度で足を運んでいるかなど、無意識に行っていた生活習慣を見つめ直すことができる。

 また、ムダ遣いを抑えるのも自分のお金の使い方を見直すには大切だが、意外に落とし穴なのが“お得”につられて購入してしまったモノやサービス。買う必要がないのに、割り引きクーポンや送料無料といった言葉に誘われてしまえば、結果としていらぬ支出をすることになってしまう。

 節約にとらわれすぎて過度に我慢するのも健全とはいえないが、自分自身の「お金の使いグセ」を見つめ直すのが老後に向けた下準備となる。

◎老後を思い描きながら必要な貯蓄額をみきわめる

 老後の生活を見据えた上で、生活にかかる出費やもらえるお金などを紹介する本書では、現役世代に向けて貯蓄のヒントも伝えている。

 初めにまず手を付けるべきなのは、老後の家計をイメージすること。やり方としては現在の家計をベースに描けばよく、定年を迎えてから変化するものを修正していく。例えば、子どもがいるなら独立しているかどうか、集合住宅なら管理費や修繕積立金などがかかるかどうかなど、なるべく具体的に老後の生活を思い浮かべながら必要経費を整理してみる。

 さらに、近頃ではお金を増やすための投資にも関心が集まっているものの、松崎さんは「コツコツ貯めていける元本保証の預貯金をベース」にするのが、一番に考えるべき選択肢だとすすめる。そして、老後はあくまでも「年金という決まったお金の枠内で暮らすこと」が意識として大切だという。

 時間だけは平等で、誰にでも老後はやってくる。自分が定年を迎えてからあたふたするようでは遅く、やはり現役時代から考えておきたいもの。今から将来の自分や家族のために、未来のお金と向き合っておこう。

文=カネコシュウヘイ