落ち込みやすいのは性格のせいではない?「私のせいで、私ばかり、私さえ我慢すれば…」が口癖の人へ

暮らし

2018/7/24

『「自己肯定感」をもてない自分に困っています』(長沼睦雄:著、マエダヨシカ:イラスト/宝島社)

 自己肯定感をもてずに悩む人たちに向けて、自尊心を育む方法、あらゆるストレスから解放される方法を専門の精神科医が教えるコミックエッセイ『「自己肯定感」をもてない自分に困っています』(長沼睦雄:著、マエダヨシカ:イラスト/宝島社)が刊行された。

 本書の著者は感覚統合療法やトラウマ治療を学び、発達についてさまざまな視点から多くの人を診てきた医師・長沼睦雄氏。

 長沼氏は本書の中で、素の自分を出せなかったり、他人の言動に振り回されたりといった、生きづらさを抱えている人たちには「自己肯定感」が低いということが関係しているという。そして、ネガティブになりやすいのは性格ではなく、幼少期のちょっとしたトラウマや心の傷が原因になっている場合が多く、意識のもち方で変えていくことができるという。そのためにはまず、「知識(知ること)」「心構え(向き合うこと)」「行動(吐き出すこと)」の3つのステップがポイントになるというのだ。

◆知識、心構え、行動の3段階で自己肯定する

 そもそも「自己肯定感」とはなにか? 自己肯定という言葉からポジティブ、プラスのイメージをする人が多いかもしれない。長沼氏は「自己肯定感」という言葉には『できなくてもいい』と思えることが自己肯定だという。つまり、自己肯定とは無理に自信やを持つことや強気になることではなく、プラスの部分もマイナスの部分も認めて、ありのままの自分を引き受けることなのだ。

「自己肯定感」の低い自分から脱却するには、まずは知ること。今の自分は過去の記憶が積み重なってできている。ネガティブになるのは性格のせいではなく、拒絶されたり、バカにされたり、いじめられたり、心の中に染みついた過去の体験が影響していることが多い。これまでの人生を振り返って、どうして自己肯定感が低くなったかを知る。家族や兄弟との関係、学校でのいじめ、「自分はダメだ…」と思わせるような経験と向き合っていく。その具体的な方法には、心理検査や医学検査を受けたり、親への不安を書き出してみたり、親しい人に話してみたり、嫌いな人の嫌いな理由を考えてみたりすることだ。心の中にあるマイナスを吐き出し、今度は自分の望む未来に向かうために行動していくことになる。

 本書では、知識、心構え、行動の3つのステップを踏みながら、「自己肯定感」を満たすための具体的な方法を紹介している。なかでも、誰でもマネできるのが「魔法の言葉」だ。言葉のもつ力は非常に大きいもので、人々を前向きにする素晴らしい言葉を「魔法の言葉」と称して長沼氏は集めているという。人間の脳は言葉にしたことを「現実のもの」として認識することがわかっていて、これは脳科学的にも証明されている。「なりたい自分になる」「大丈夫、絶対、大丈夫」「過去は過去、今は今」など、言葉を口に出すと脳はそれを実現させるための指令を出す。不安になったときには、自分を支える「魔法の言葉」を使って心を整えよう。

 自己肯定感をもてないというのは、本当に生きづらい。ふとしたことで不安や恐怖が押し寄せてきて、心がひどく疲れてしまう。しかし、人は変わることができる。本書で「自己肯定感」がもてなくて困ってしまう自分への対処法が見つかるはずだ。

文=なつめ