凶悪殺人者の肉声を収録! 宅間守、宮崎勤、小林薫が語った「闇と真実」とは?

社会

2018/8/14

『ドキュメント死刑囚』(篠田博之/筑摩書房)

 過去に起きた数ある凶悪事件の中でも、宮崎勤、小林薫、宅間守らが起こした凶行は世間に大きな衝撃を与えた。しかし、凄惨な事件を起こしても彼らは取り調べや裁判で一切謝罪の言葉を口にせず、自ら進んで死刑を希望し、処された。彼らはどんな思考から、凶行に至ったのだろうか。それを突き詰めているのが、3人の肉声をまとめた『ドキュメント死刑囚』(篠田博之/筑摩書房)である。著者であるジャーナリストの篠田氏は塀の中の彼らと長期間の交流を図り、事件の背景に隠された“闇と真実”を探った。果たして、彼らを残忍な犯行に駆り立てた心の闇は、何だったのだろうか。

■3人の死刑囚に共通する「親への憎悪」

 宮崎勤、小林薫、宅間守の3人に共通していたのは、精神鑑定で「反社会的人格障害」であると診断が下った点だけではない。実は3人とも父親を激しく憎悪していたのだ。

 宮崎勤の場合は自分の両親を「ニセモノ」だと思っており、母親を「母の人」、父親を「父の人」と呼んでいた。宮崎勤は6人家族であったが、家の食卓には4つの椅子しか置かれておらず、「解離性家族」でもあった。そんな家庭で育った彼は事件後、父親が自殺したことを知ると「胸がスーっとした」と語ったという。

 一方、奈良女児殺害事件で逮捕された小林薫も親への憎悪を口にし、自分が犯罪者になってしまったのは父親にも原因があったと考えていたようだ。幼い頃、弟の出産で命を落とした亡き母への想いとは対照的に、小林薫は父親へ激しい憎悪を抱いていた。彼は、月刊『創』の編集長でもある篠田氏にこんな手紙も送っている。

犯罪者の私が言うのはおかしいかもしれないが、「創」を購読されている方でお子さんが居てる方に言わせて下さい「子供と一緒に食卓に着き団欒の一時を過ごしてあげて下さい」「子供の話を聞いてあげて下さい」「子供を信じてあげて下さい」「子供と遊んであげて下さい」「子供を叱る時、何で叱るか、何が悪いのか言いきかせて教えてあげて下さい」「子供が2人、3人と居るなら平等に接してあげて下さい」今、6つ程書きましたが、これは私が親父に対して思い望んでいたことです。

 こうした言葉からは、彼がどんな扱いを家庭内で受け、どう孤立していったのかが見えてくるようにも思える。

 また、池田小事件を起こした宅間守の父親は権威主義的で強い男に憧れていたこともあり、彼に激しい体罰を加えていた。そんな状況の中で育った宅間守は父親について「寝ているうちに刺殺していたら、もっと違う人生があった。子どもやから懲役行かんでもええし」と語っており、父親のほうも実の息子への気持ちを報道陣に対して「守に会うたらワシが殺したる」「自分で落とし前つけて死ねや」と述べていた。

 3人の殺人者たちが犯した罪は、もちろん許されるべきものではない。しかし、実の家族から愛情を受けられない日々を過ごしていた彼らも、彼らなりに苦しんでいたのかもしれない。家族とは一体なんなのか、どんな家庭なら幸せだといえるのだろうか。そんな疑問が浮かんでくる本書からは、凶悪事件を犯した殺人者たちの心の闇が伝わってくるはずだ。

文=古川諭香