あなたの使っている時間とお金は 投資か、消費か、浪費か?

暮らし

公開日:2018/9/21


稼ぐ人が実践しているお金のPDCA
(冨田和成/KADOKAWA)

 お金と時間は私たちの生活では切り離せない関係になっています。しかし、この2つについて考えている人とそうでない人とではその後の結果は大きく変わっていきます。ビジネス書『稼ぐ人が実践しているお金のPDCA』(KADOKAWA)からお金の時間の関係を紹介します。

 次の3つのフレーズについて考えみてください。

(1)お金と時間を投資する
(2)お金と時間を浪費する
(3)お金と時間を消費する

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 どれも構文的には似通っていますが、それぞれの意味合いは大きく異なります。具体的に何がどう異なるのか説明してみます。

 まず(1)ですが、「投資」という言葉を使うのは、自分の時間とお金を使うことによって、リターンが上回る可能性が高い場合です。翻って、自分が費やしたお金と時間に対し、リターンが下回る可能性が高いケースでは、(2)の「浪費」が当てはまります。
(3)の「消費」は、投資と浪費の中間に位置すると言っていいでしょう。

 お金について言うと、何かを買ったときに、「得した」「損した」という判断を行うことは多いでしょう。時間の場合、たとえば映画を見に行ったとすると、「時間のムダだった」「浪費した」もしくは「この時間、よかった」「人生観が変わった」などと言って、評価を下しているのではないでしょうか。
 つまり私たちは、日常生活の中でリスクとリターンをしっかりと考えているのです。

お金について考えることは、人間関係・生き方につながる

 しかし、不思議なのは、この習慣の中から「お金」の部分だけに焦点を当てすぎると、必ず拒否反応を示す人が出てくることです(以下に出てくる「飲み会のリターン」でイメージするとわかりやすいのではないでしょうか)。一方で「時間」に焦点を当てると、こちらは多くの人たちが自然に行っていることだったりします。お金と時間は交換され合いながら、私たちの人生の重要な資本として活躍しているわけなので、バランスよく考えられるといいでしょう。

 しかし、往々にして
「お金の亡者になったようで、何となく嫌だ」
「お金のことばかり考えるのは、気が向かない」
 こんな感情にとらわれ、向き合うことをやめてしまいます。

 時間とお金を使うとき、果たしてそれが投資なのか、消費なのか、それとも浪費なのかを事前に考える習慣がつくと、目的意識を明確にすることができるはずです。
 目的意識を明確にするための切り口は至るところに存在します。お金を払って天然水を飲むのか、ほぼ無料の水道水を飲むのかを自分なりに考えてみてもいいでしょう。

誘われた飲み会に参加しないのは本当に悪いことなのか?

 飲み会に参加するかしないかを決断する際には、そこに参加することで、何らかの知識を入手することができるのか、それとも交友関係を深めることになるのか、はたまたグダグダとお酒を飲んで同じ話を繰り返すことになるのかなどを見極めるようにします。

 あからさまに打算的になりすぎることは、周囲からもあまりよく思われないでしょう。そのため、避けておきたいところですが、ある程度、投下したお金と時間のリターンについて考慮しつつ、よりよい選択ができるように努めることは大切です。

 というのも、お金と時間を優先順位の低いBという選択肢に使うと、その分のお金と時間を優先順位の高いAという選択肢に対して使えなくなるという現実を、私たちは忘れがちだからです。

 仮に、「付き合いだから何となく」という程度で、飲み会に参加すれば、大切な家族や恋人、旧友との時間が奪われることにもなります。飲み会に浪費したお金で大切な人たちにご馳走をしたり、プレゼントをしたり、日頃の感謝を形にできたかもしれません。
 時間も人生もそうですが、この有限の世界で生きている限り、何かを選択するということは、何かを捨てるということなのです。

●著者紹介●
冨田 和成(とみた かずまさ)
ZUU代表取締役
神奈川県出身。一橋大学在学中にIT分野で起業。2006年大学卒業後、野村證券株式会社に入社。本社の富裕層向けプライベートバンキング業務、ASEAN地域の経営戦略担当等に従事。2013年3月に野村證券を退職。同年4月に株式会社ZUUを設立し代表取締役に就任。月間400万人超を集める金融経済メディア「ZUU online」や「DAILY ANDS」など資産運用の総合プラットフォーム運営、フィンテック推進支援を行う。2016、2017年度監査法人トーマツ主催「日本テクノロジー Fast50」にて2年連続上位受賞。2018年6月、設立約5年で東証マザーズへ上場。著書に『大富豪が実践しているお金の哲学』『鬼速PDCA』『営業 野村證券伝説の営業マンの「仮説思考」とノウハウのすべて』(クロスメディア・パブリッシング)、『プライベートバンクは、富裕層に何を教えているのか?』(ダイヤモンド社)など。