ショック!? 学生時代に学んだことはもう役に立たない。知の再武装をスタートしよう

ビジネス

2018/10/1

『ジェロントロジー宣言 「知の再武装」で100歳人生を生き抜く』(寺島実郎/NHK出版)

 人生100年時代――。たびたび耳にするものの、まだ20代の私にとっては、なかなか悩ましい言葉だ。なにせ、「人生、まだあと80年あるよ!」と言われているのである。20年しか生きていない私に、80年先を想像することはむずかしい。それでも、ある程度わかっていることはある。例えば、国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2050年の日本の人口は約1億人、そのうち65歳以上の人口は3841万人(総人口の37.7%)になる――つまり、“高齢化社会”がやってくる。本稿で紹介する『ジェロントロジー宣言 「知の再武装」で100歳人生を生き抜く』(寺島実郎/NHK出版)は、これを“異次元の高齢化”と呼び、こうした社会を生き抜くためには“知の再武装”が必要だと説く。

■なぜ今“知の再武装”が必要なのか?

 長年ひとつの組織の中で生きてきた結果、自分の会社・業界以外の世界に疎くなっているという人はいないだろうか。私たちが100年以上生きることになれば、仮に65歳で長年勤めてきた企業を退職しても、残りの35年という長い期間を自分の力で生きていくことになる。そうなれば、これまで会社で身に着けた技術やキャリアだけでは通用しないだろう。

 そこで著者が提唱しているのが“知の再武装”だ。私たちは、意識的に学び直しを行うことで、変化の激しい今の時代を正確に認識し、自分の立ち位置をその都度理解する必要があるという。さまざまな学問の分野で日々アップデートが行われているから、昔大学時代に身に着けた教養は、あなたは自信を持っているとしても、もはや時代遅れになっている可能性が高いだろう。著者は本書の中で、歴史や生命科学、AIなど特に“再武装”すべき分野をピックアップして紹介し、活用できそうな読書リストも付記しているので、参考にしてほしい。

■ジェロントロジーで社会を作り替える

 著者は、“知の再武装”による個人の変革だけでなく、時代に即した新たな社会システムを作り上げることの大切さを語る。具体的には、高齢者たちを社会の外側に置き、福祉や年金、介護などのコストがかかる対象として見るのではなく、高齢者が社会を動かす活動に再び参加できるような仕組みを考えるべきだと主張している。こうした考え方の背景には、“ジェロントロジー”という学問がある。これは、高齢化社会における諸課題を解決するための、分野の壁を超えた学問のこと。本書の中では、医療、宗教、金融などの分野において、現状の問題点を鋭く指摘し、これからどう改善していくべきかという提言がなされている。

 幸か不幸か、ひとりの人間が生きる時間はどんどん長くなっていく。さらに、これまで当たり前だった社会システムも刻々と変わっていく。時代の先行きは不透明で、これからどんな能力が求められるようになるかはわからない。それでも、何かを学び、それを元に自分の頭で考える力の価値は、当分失われないはずだ。本書を道しるべに、あなたも“知の再武装”を始めてみてはどうだろうか。

文=中川 凌