人魚は日本にも実在する? ツチノコ、ネッシーなど説明不能なUMAの謎を徹底分析!

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2018/10/8


UMA事件クロニクル
『UMA事件クロニクル』(ASIOS/彩図社)

 ツチノコの存在を信じていないという人でも、ツチノコを見たいかと聞かれたら迷いなく「イエス」と答えるのではないだろうか。インターネットを通じて全世界中の情報をほぼリアルタイムに収集できるようになった現代でもなお、説明が不可能な未知の生物は世界各地で目撃されている。古い時代から長らく私たちの好奇心を刺激してきた「UMA(Unidentified Mysterious Animal 未確認動物)」を分類し、豊富な事例と鋭い推察とともに紹介するのが、本書『UMA事件クロニクル』(ASIOS/彩図社)だ。

 本書で取り上げるUMAは全部で44。通常こういった超常現象を扱う本では、獣人型、飛行型などのタイプ別に分類されていることが多いそうだが、年代別に編集されている点に、“クロニクル”というタイトル通り、UMAの真相に迫るアプローチが秘められている。本書を著したASIOSは、Association for Skeptical Investigation of Supernatural(超常現象の懐疑的調査のための会)という団体の略称で、UMAの事実に迫る調査やリサーチをこれまでにも行ってきた。ツチノコやネッシー探しは、ひとつのロマンだ。だが夢やロマンを求める際にも、現実的な視点や考察は必要だという公平なスタンスのもと、超常現象に対して肯定的な情報と否定的な見解とをバランスよく紹介してくれるのが、本書の特徴だ。真偽の判断は、むしろ読み手の私たちに委ねられている。そう思えることこそ、ロマンに通じるのではないだろうか。

■人魚の正体を特定できるか?

 人魚(マーメイド)の目撃記録は、古今東西非常に多い。上半身が美しい女性の姿、下半身が尾びれのついた魚というイメージを持ちがちだが、実は過去にはその逆の姿(!)の記録もある。日本の人魚の歴史を遡ると、すでに「日本書紀」にも人魚のようなものが出現したという記載がある。その後も、海や湖沼に出現した目撃談や、死骸が漂着したという記録は続く(本書には年表化された詳細なリストも掲載されている)。

 人魚のミイラとして伝わるものが全国各地に存在するのも、関心ある人ならよく知っているだろう。なかには、聖徳太子が発見したと伝わる人魚の死骸を、信仰対象として大事に保管してきた寺院もある(不思議なのは、同じような伝説にまつわるミイラが国内各地に複数残されていることだ)。

 人魚のミイラの多くは、近年になりX線などを利用した科学的解析によって、つくりものであることが判明している。歯は鯛のもの、頭部は竹ヒゴでできた骨格に和紙を貼ったもの、首には木材が使われ、下半身は魚の皮…とまるで工芸品のようなつくりこみのものもあるそうだ。

 結局のところ、死骸や目撃情報をすべて充足するような「人魚」という生物はいないのではないかというのが本書の推論だ。だが、人の目撃情報やその伝承は当てにはならない代わりに、それを否定する証拠もない。本書では、ジュゴンやアザラシなど、見間違えの可能性がある動物についても多角的に検証しているが、残念ながらどれも「これ」といった決め手はないようだ。かつての麒麟や獅子のように、直接見たことはないものの伝承されてきた架空の動物のイメージを、現存する動物に重ね合わせて見たのが「人魚」なのかもしれない。

 未確認動物や超常現象は、私たちがそれをどう受け取り、どう理解してきたかという歴史と深く絡みついている。人の善意や悪意のどちらとも切り離せない存在のようだ。さて、冒頭で例に挙げ、いまだにメディアでも取り上げられることのあるツチノコは、果たして実在するのだろうか? 山奥に捜しに出かける前に、まずは本書を手に取り、幅広く集められた情報からあなたなりの推理を立ててみるのはどうだろうか。

【本書で取り上げるUMAの例】

《1930年代以前のUMA事件》
・河童
・人魚
・クラーケン
・ネッシー

《1940~60年代のUMA事件》
・イエティ
・モスマン
・ビッグフット

《1970年代のUMA事件》
・ヒバゴン
・ツチノコ
・野人
・イッシー

《1980年代のUMA事件》
・モケーレ・ムベンベ
・リザードマン
・タキタロウ

《1990年代のUMA事件》
・フライング・ヒューマノイド
・チュパカブラ

《2000年代のUMA事件》
・モンキーマン
・ニンゲン

文=田坂文