いままで語られてこなかった、「子どものいない女性」の本音

暮らし

2018/10/27


実は傷つく、何気ない言葉

「お子さんは?」「子どものいない人にはわからないと思うけど」「子どもがいない人は気楽でいいわよね」「子どもを持つ幸せを知らないなんてかわいそう」「子ども嫌いなんでしょ?」「全部自分の時間でうらやましい」「親にならないとやっぱりねぇ」。これは実際に独身で子どものいない筆者がいままでに言われた言葉のほんの一部である。

 時にムカつき、傷ついたけれど、あいまいな笑みを浮かべてやり過ごすことが多かった。まともにとりあってもこの人たちに自分の気持ちがわかるとは思えなかったからだ。

 20代で一人目を産んで、二人ぐらい、できれば男の子と女の子、両方欲しいなと思っていた。海外事情も含めて卵子凍結や養子縁組について調べたこともある。でも子どもはいない。いまだに子どもが持てなかった痛みが胸の奥にある。出産がテーマのドラマやドキュメントは見るのがきつい。そしてこんなことは人に言うことではないと思っていた。

胸の奥にしまいこんできた気持ちを話す場との出会い

 そんな時に出会ったのが、大人ライフプロデューサーやトレンドウォッチやーとしてTVなどで活躍している、くどうみやこさん。くどうさんは子どものいない女性を応援する『マダネ プロジェクト』を主宰しており、年に数回、『子どもがいない女性のつながるカレッジ』という会を開いていらっしゃる。くどうさん自身も持病があったため、子どもを持たない人生を送る一人だ。6年も前から子どものいない人生についていろいろ調べ、同じ境遇の方たちの話を聞いてきている人だった。

 夏のある日、私もその会に参加させていただいた。集まったのは同じように子どものいない人たち。それまで口にしたことのない気持ちを話すことで緊張していたが、見ず知らずの人の前では、子どもを持てなかった理由やその悲しみを素直に口にすることができた。話をしながら、本当はこう思っていたのか、自分が思っていたよりも傷ついていたのだなということが初めてわかった。

子どものいない人生にはひとりひとりにドラマがあった

 参加者の皆さんはそれぞれの人生を一生懸命ひたむきに生きてこられた人ばかり。でも子どもがいないことについては、数年から十数年悩み苦しんでいらっしゃることを皆さんの話を聞いて初めて知った。一番多いケースが不妊治療で授からなかった方、他にも病気、親の介護や家族の面倒、仕事を優先していて「子どもがほしい」と思った時には難しかったなど、理由は人それぞれ。

 参加する前は不妊治療を終えた40代の人が多いだろうと思っていたけれど、30代から60代までと年齢も幅広く、悩み始めた時期もバラバラで、年齢を重ねれば痛みが軽くなるとは言えないし、子どもがいないつらさを強く感じる年齢は人によって違っていた。

 子どものいない人生を送っている人にはさまざまなドラマがあり、辛い状況を乗り越えようと奮闘し、乗り越えて自分らしい生き方を見つけようとされている話はとても刺激になった。同じ境遇の人たちと話すことで、自分がいまどこで立ち止まっているのかを確認し、一人じゃないんだということもわかって気持ちがだいぶ楽になった。

子どもがいないからこそ、自分らしく生きる道を探したい

 子どもがいないことで逆に社会のために何かしたい、女性を幸せにする仕事をしているなど、新たな道で人生を歩もうとしている人の話にも勇気づけられた。
 親兄弟、友人、同僚、近くにいる人にも話せないことが、その日初めて話せたことで子どものいない人生を受け入れながら楽しんでみようかなという気にさせてくれた貴重な会だった。

 その後も会に参加し続け、いまではスタッフとしてお手伝いしている。会が始まるときは皆さん一様に緊張されているが、会の終わりには明るい表情でお帰りになる方の多いことがうれしい。会をきっかけに習い事を始めた、仕事を見つけたというお声を聞くことも増えてきた。「それまでどこにもいないと思っていた同じ境遇の仲間が集って、これからの自分を探していく場がもっともっと広がっていけるといいな」と、主宰のくどうさんと我々スタッフは願っている。

 最後にくどうさんの著書を紹介したい。子どものいない方々に取材し、アンケート結果も紹介されている『誰も教えてくれなかった子どものいない人生の歩き方』(主婦の友社)。私が一番おすすめするのは13人の方々の体験談だ。どうして子どものいない人生になったのか、心の葛藤がよくわかり、前を向いて着実に歩いている話が大変参考になる。夫の立場で語ってくれた男性2人の体験もとても新鮮だった。脳科学者の黒川伊保子先生の「産んだ脳と産んでいない脳」の比較もおもしろい。子どものいない私達は「産まずに成熟する脳」だそうだ。

 子どものいない人生をどう受け止め、これからをどんな風に生きていくのかを考えるきっかけになる一冊。是非読んでほしい。