息子2人の前ではママというより“母ちゃん”!?  亜希さんから幸せのおすそわけ

エンタメ

2018/10/28

『亜希のことば 私を笑顔にしてくれるヒト・コト・モノ』(講談社)

 50代を目前とする今でも以前と変わらぬ人気モデルとして活躍し、男児2人の母でもある亜希さんの著書『亜希のことば 私を笑顔にしてくれるヒト・コト・モノ』(講談社)が刊行された。

 亜希さんといえば、どんなイメージをお持ちだろうか。大きな笑顔、おしゃれ、料理上手。それはきっと、どれも本当。インスタやブログで発信されている通りである。そこに彼女の輪郭をもう1つ加えるとしたら“幸せな人”だろうか。それも、表面的になりがちな若者の幸せではなく、歳を重ねた今だからこそ手に入れられた揺るぎない幸せ。両親の死や自身の離婚など、決して穏やかだったとはいえないその人生で、その幸せをどうやって掴んでいったのだろう。

 誰よりも彼女を幸せにしている人がいる。息子さん2人のことだ。10代の2人は今が食べ盛り。揚げ物の日はアツアツを食べさせたいから自分はつまみ食いだけ、なんていうエピソードを聞くと、亜希さんはママやお母さんというより、どーんと構えていて頼りがいがある“母ちゃん”なのだな、と感じられる。自分の誕生日に“ある贈り物”をしてほしいと伝え、うれしい反応が返ってきたという話からは、親子でしっかりと心が通じ合っていることがうかがえる。貴重な3ショットも掲載されているので、賑やかな家庭の様子を想像しながら楽しんでほしい。

 亜希さんは料理上手で知られるが、本書で36品ものレシピを公開している。自身が撮影したという料理の写真はおいしそうなものばかり。愛してやまないという牡蠣のレシピもあれば、シンプルな卵焼きや「大根おろし丼」なんて素朴なメニューもある。おしゃれなメニューもあるけれど、亜希さんらしさがピリッとひと味効いていて、どこか温かくて、“家庭の味”ということばがよく似合う。食べ盛りの息子さんのためのお米3合分(!)の炒飯弁当も。

 母親であることを楽しんでいる亜希さんが、自身が母親から受けた影響の強さも、本書の随所で語られている。地元の福井県で、女手一つで亜希さんを育ててくれた母。彼女がいつも笑顔でいられるのも、母親からの影響なのだろう。芸能界へ入る夢を叶えさせるため、15歳の亜希さんを東京に送り出してくれた話から、16年前に亡くなった時のことまで母との思い出が語られる。パワフルでほがらかな亜希さんの知られざるルーツを知ることができるだろう。

 もちろん本業のファッションの話もある。コンサバだった20代を経て、スポーツに打ち込んでいる息子さんたちに付き合って休日はグラウンドで過ごすことが多いという今は、カジュアルがメイン。大人がカジュアルを着こなすために心がけるべきポイントは参考になる。パーカー、スニーカー、ワンピースなどのおすすめアイテムを見ると、どれもこだわりが深く、亜希さんらしさに溢れていて、さすがの一言。その反面、昔の彼氏に言われてTシャツがトラウマになってしまったというエピソードもあって…おしゃれな人にも歴史アリなのだなあと親近感を覚えてしまう。

 亜希さんの周りを取り巻くコトやモノは、モデルというイメージに反して、まったく気取りがない。人の目や流行を気にせず、自分が気持ちいいと感じるものだけを取り入れているのが伝わってくる。目に見えるわかりやすい幸せというより、感謝を忘れず、ちょっとしたことでもひとつひとつ楽しんでしまう幸せ。その積み重ねが、彼女を大きな幸せに導いているように感じられる。

 ことばの力を信じているという亜希さんのことばは、どれもこれもありのまま。そこに彼女の温度が感じられるから、読んでいるとほんのりと心があたたまってくるのがわかる。泣きたい時や笑えない日があったら、彼女のことばがそっと背中を押してくれるだろう。亜希さんのことがもっと大好きになってしまう、そんな一冊である。

文=吉田有希