“第2のディーン・フジオカ”と呼ばれて… 俳優・大谷亮平のこれまでとこれから

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公開日:2018/11/4

 NHKの朝ドラ「まんぷく」への出演が話題となっている大谷亮平さん。彼の経歴は、一般的な人気俳優とは少々異なる。大学4年生のとき、バイト先の先輩に誘われてモデルの活動を開始。その後、韓国の「ダンキンドーナツ」のCMに出演し、その反響の大きさから活動の拠点を韓国に移すことになる。

 それから約10年、韓国で数々の映画やドラマに出演し、キャリアを重ねてきた。そして2016年、35歳で再び日本に戻り、TVドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS)でブレイク。その後も映画『ゼニガタ』で主演を務めるなど、帰国してからまだ2年とは思えない存在感を放っている。

『日本人俳優』(大谷亮平/TAC出版)

 本書『日本人俳優』(大谷亮平/TAC出版)は、「出会いにものすごく恵まれている」と語る彼の半生を、美麗なポートレートと共に振り返る。最近の日本での活躍は多くの人が知るところだが、学生時代にバレーボール選手を目指していたころのことや、韓国で“日本人俳優”として出演した作品への思いは、本書で初めて語られる部分も多いだろう。

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 本書を読み進めていくと、順風満帆に思える大谷さんの人生にも、やはり苦悩や挫折があることが感じられる。たとえば、大谷さんは、よくディーン・フジオカさんと比較されている。それは、日本人ながらふたりが海外で経験を積み、日本に“逆輸入”された俳優だという共通点があるからだ。

 ディーンさんは、大谷さんが日本に来るより前に、NHKの朝ドラ「あさが来た」の五代友厚役でブレイクしていた。そのこともあって、大谷さんは、帰国前から“第2のディーン・フジオカ”と呼ばれていた。

 当時ディーンさんの盛り上がりはすごいものがあったから、“第2の”と呼ばれてメディアに取り上げられるのは喜ぶべきことのようにも思える。だが、その胸中は複雑だったようだ。

インタビューなどでも「それについてどう思いますか?」って当時、ずいぶん聞かれたんです。最初は特に気にしていなかったのに、もしかして“第2の”と言われるのはいいことではないのかな?ってだんだん不安になってきて。それを親友の有樹に相談したら「いや、覚えてもらうきっかけになってよかったんだよ」って言ってくれたんですよ。

 そのとき支えになったのが、親友の有樹さんの言葉だった。彼は、台湾を中心に活動している日本人モデルで、大谷さんと2日に1回は会うほどの、いわば家族のような存在。有樹さんは、モデルの仕事をする中で、アジアで成り上がろうとする人たちの姿をたくさん見ていた。だからこそ、大谷さんは彼の言葉に説得力を感じ、それが日本に活動の拠点を移す後押しにもなったという。

 本書を彩るポートレートを手掛けたのは、写真家の鋤田正義氏。T・REXや忌野清志郎らミュージシャンのポートレートや、是枝裕和監督作品などのスチールを撮影してきたことで知られている。氏が撮影したポートレートは、本書に深い味わいを与えている。ぜひ、言葉と写真、それぞれの表現を通して、彼が生きてきた歴史を脳裏に焼き付けてほしい。

撮影=鋤田正義 文=中川 凌