婚活がうまくいかないのは発達障害のせい!?  成功率をあげる“マニュアル化”する方法

恋愛・結婚

更新日:2018/11/16

『発達障害と結婚』(吉濱ツトム/イースト・プレス)

 結婚できない人が増えつつある。内閣府が公表する「未婚化の進行」(2015年)を見ると、30歳から34歳の、男性の約2人に1人(47.1%)が、女性の約3人に1人(34.6%)が未婚だそうだ。未婚率は上昇傾向にあるという。

 ひと昔前は見合いや社内恋愛で、大勢が結婚に至った。しかしその文化が消え去った現代は、結婚が人生のハードなイベントに分類されつつあり、なかには恋愛さえも難しい人が出てきた。

『発達障害と結婚』(吉濱ツトム/イースト・プレス)は、特に結婚がハードになるであろう、発達障害を抱える人々へ向けた婚活指南書だ。著者は、自身もそれに苦しんだ経験を持つ「発達障害カウンセラー」の吉濱ツトムさん。本書より、幸せになる方法を少しだけのぞいてみたい。

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■日本人の発達障害の中で、男性に最も多いのがアスペルガー症候群

 そもそもなぜ発達障害を抱えると非モテになってしまうのだろうか。吉濱さんによると、日本人の発達障害の中で、男性に最も多いのがアスペルガー症候群。彼らは真面目で勉強家でマニュアル通りに動くのは得意だが、基本的にコミュニケーションが苦手で、相手の心を察することを苦手とする。そのため初めて会う異性と上手に雑談できない。相手のことを知ろうと、まるで尋問のように質問攻めにしてしまうことも。彼らは知能が高く純粋で優しい気質を持っているのだが、それが伝わる前に異性から“落第” の烙印を押されてしまうのだ。異性と手軽に出会える街コンや婚活アプリなどが活況だが、アスペルガー症候群を抱える人々にとって恋愛は難易度が高いという。

 もちろん結婚の困難は女性でも起こりうる。本書ではあるADHDの女性の事例を紹介している。保険のセールスレディーとして働く和美さん(仮名:32歳)は泣きそうな顔で吉濱さんに相談した。デートをすると、彼氏が突然怒り出してしまうというのだ。

「この前のデートのとき、新宿の星乃珈琲に行ったんです。星乃珈琲ってスフレパンケーキが有名で、二段重ねにしたいんだけど、吉濱先生が糖質を控えろっておっしゃるから、デートのときは一段を二人で分けてるんです。で、パンケーキを食べているときに(以下、省略)」

 よく女性の話はあちこちに飛び、要点が分からないというが、ADHDを抱える女性はこの傾向が顕著になるという。話の主題に関係ない周辺情報ばかりを詳細に話す。話の主語が頻繁に入れ替わる上に、その主語を省略して話すこともあるので、相手はうんざりして怒り出してしまうのだ。彼女は毎回このパターンでフラれてしまうそうだ。

■婚活を行う人たちは発達障害を抱えている割合が高い?

 吉濱さんによると、発達障害を抱える人々には他にも様々な共通点があるという。姿勢やしぐさに癖がある、自慢とネガティブな話題が多い、相手にむやみやたらと連絡して困惑させてしまう、テンションがおかしい…。

 婚活を経験した人は、こういった人々に出くわした体験があるはずだ。ワイワイ盛り上がる街コン会場の片隅で、なぜか浮いている人がいる…。婚活アプリで知り合った異性から奇妙な連絡がいくつも届く…。

 前述の通り、発達障害は誰かとコミュニケーションを取ることが苦手なため、恋愛に乗り遅れてしまう。そこで最後の希望を求めて婚活市場に乗り出す。したがって吉濱さん曰く、婚活を行う人たちは発達障害を抱えている割合が高い傾向にあるそうだ。

 では、どうすれば異性と付き合って結婚できるのか。吉濱さんは、本気で努力すれば発達障害でも恋愛や結婚を楽しめると請け合う。その方法を次でご紹介したい。

■異性との接し方を“マニュアル化”する

 そもそも恋愛を体験した経験が少ない場合、大切なのは場数。とにかく女性と出会い、会話を重ね、デートに出かけるのだ。吉濱さんは“試行回数を増やす”ことを本書で勧めている。また、アスペルガー症候群は物事をマニュアル化するのが得意なので、異性との接し方を“マニュアル化”すると、成功する確率を高められるという。

 また、恋愛は小手先のテクニックが重要になる。初対面の異性と接するときは相手に安心感を抱かせることが大事だ。そのテクニックの1つに、相手の心を開かせる「オープナー」がある。相手に安心感を与え、会話のきっかけをつかむため、「お店の場所、分かりましたか?」「この前話した○○どうですか?」など、2人が会話に入りやすい言葉を投げてみよう。

 ちなみに本書では、発達障害同士の“恋愛の相性”も紹介している。一例を挙げれば、受動型アスペルガー同士の相性が良いそうだ。

 しかしそれを知るためには、まず自身が発達障害かどうか、どの発達障害でどれだけの程度か知る必要がある。本書ではそれを見分ける40個の問診があるので、気になる方はぜひ参考にしてほしい。

「昔は良かった」という聞き飽きた言葉がある。しかし昨今の経済状況や恋愛事情を考えると、本当に昔は良かったのかもしれない。伸び続ける経済成長によって収入や将来に不安がなく、さらに見合いや社内恋愛によって結婚もかなり高い確率でできた。

 価値観の多様化やコンプライアンスの高まりで救われた人々も多いだろうが、それによって失われた良き文化もある。結婚できない人が増えたことは、その象徴なのかもしれない…。

文=いのうえゆきひろ