「心を開かせるに飲むのが一番」「解決策を細かく指示」 部下のやる気を削ぐNG行動

ビジネス

公開日:2018/11/16

『なぜか、やる気がそがれる 問題な職場』(見波利幸/青春出版社

 会社員にとって、上司との関係は永遠の課題だ。上司からの誘いはなかなか断りづらいし、パワハラまがいの指導も我慢…。同期と飲みに行けば、口から零れるのはそんな上司に対する愚痴ばかりだ。「飲み会で一発芸をやらされる。そのために同期との打ち合わせをするのもしんどい」「2年目の先輩が毎日上司に怒鳴られている。来年は俺の番だ…」などなど。

 こうしたコミュニケーションや指導方法は、これまである程度は有効だったかもしれない。だが、本書『なぜか、やる気がそがれる 問題な職場』(見波利幸/青春出版社)によれば、人手不足に悩まされている現代の社会では、もっと部下のやる気や能力を引き上げ、彼らを“戦力にできる”上司が求められている。本稿では、本書で指摘されている“NGな上司の考え方”を紹介していく。

■“部下の心を開くには、やはり「飲み」が有効だ”…NG!

 従来型の上司は、部下とのコミュニケーションが上手くいかないと感じると、すぐに「飲みに行けばいいかな」と考えがちだ。だが、部下の立場からしてみれば、そもそも打ち解けていない上司と飲みに行くのは気まずい。

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 そしていざ飲みに行き、「趣味は?」「彼女いる?」といったプライベートな話題を出されても答えにくい。こうした飲み会は、双方にとっていい時間にならないだろう。著者は、部下に心を開いてもらうためには、部下が本当に話したいことについて会話すべきだという。そのためには、「部下が努力したこと、頑張ったこと」を“的確に”褒め、きちんと部下の働きを見ていることを伝えるのが近道だそうだ。

■“傾聴よりも「解決策を指示できる上司」のほうが有能だ”…NG!

 上司は、部下から相談を受けると、つい「ああしろ」「こうしろ」とコンサル目線で指導してしまうことがある。だが、それは一時的な解決にしかならない。部下が内面をさらけ出して相談をしてくれるようになると、部下自身がその問題を客観的に捉えられるようになる。

 著者によれば、そこで得た“気づき”こそが、部下の行動を根本から変えることになるという。この“気づき”とは、本人が成長する事柄を“感動を伴って”知ること。上司と部下の心の交流ができるようになってこそ、部下の成長につながる“気づき”を得ることができるのだ。

 本書では他にも次のようなNG上司の言葉や考え方が挙げられている。思い当たる節はないだろうか…?

・「顧客目線に立とう」
・「結果がすべてだよ」
・振った仕事は部下に任せ、何かあったらケアする
・何度もうつで休職するのは弱い人である
・怒鳴ったり殴ったりしなければパワハラにはならない
・人は怠ける。管理や強制がないと成長しない
・「良い」と思ったら何でも褒めるほうがいい

 長年社会人生活を送ってきた「上司」たちは、どうしてもこれまでに接してきた上司のやり方や、過去の成功体験に基づく価値観に縛られてしまいがちだ。だが、時代とともに、上司に求められる能力は変わっていく。本書を読んでその考え方をアップデートし、部下の能力を今以上に引き出せる上司になりませんか?

文=中川 凌