初恋の男をオトすために整形…一途すぎるちょっぴり怖い整形美女の恋物語

健康・美容

2018/11/18

『モンスター』(百田尚樹/幻冬舎)

 誰かに強く恋い焦がれようと、その思いは報われるとは限らない。あの人がこちらを向いてくれないのはなぜなのか。どうしたらこの恋を成就させることができるのか。器量がよくない女が考えた解決策、それは顔を変え、絶世の美女になることだった。百田尚樹氏著『モンスター』(幻冬舎)は、醜く生まれた女の変身と恋を描いた物語。周囲を見返すため、初恋を成就させるため、整形を繰り返す主人公の姿は気が狂っているとしか言いようがない。だが、どうしてだろう。愛されることを願って美しさを追求していくその姿に、女なら誰でも強く惹きつけられるはずだ。

 主人公は、田舎町で突如レストランを経営し始めた謎の美女・鈴原未帆。町中で話題になるほどの美しい容姿を持つ彼女の正体は、かつてこの町で「モンスター」と呼ばれ、恐れられた醜女・田淵和子だった。容姿を理由に幼少期からすさまじいいじめを受けてきた和子には秘められた初恋があった。幼い頃、迷子になった和子を守ってくれた少年・高木英介への思いがずっと彼女を支え続けていたのだ。だが、英介への歪んだ思いを抱えた彼女は、高校時代、とある事件を巻き起こす。町を追われた彼女が目覚めたのが、整形手術。莫大な金額をかけ、和子は完璧な美人に変身。そして、再び故郷に戻ってきた彼女はレストランを経営する傍ら、かつて彼女をコケにしてきた町の人々へと復讐を始める。だが、一番の目的は、英介との再会。英介に再会し、英介に愛されることだけを夢見て、和子は鈴原未帆として故郷に帰ってきたのだ。

 彼女が整形によって、美しくなり、周囲を見返していくさまには清々しさすらある。顔が変わるだけで周りからの扱いが変化していく。たくさんの男たちが言い寄ってくる。女にとって、美しくなることは、地位の向上を意味する。結局のところ、女にとって、見た目以上に重要なファクターはないのだ。

 だが、顔が美しくなるだけでは、心は満たされない。和子は美しくなればなるほど、同時に、むなしさも感じる。本当の自分を愛してほしい。美しい自分ではなく、醜かった頃の自分をも愛してほしい。初恋の相手・英介は、そんな思いを抱えた和子とどう向き合うのだろう。衝撃のクライマックスから目が離せない。

 美しさにはゴールがない。だが、和子には英介に愛されるために美しくなるというゴールがある。一人の男のために、一途に美を追求する姿は、狂気そのものだが、同時にその純粋さが羨ましい。純真と狂気とは紙一重なのか。ブサイクに生まれた女の一途な恋の物語はあなたの胸をも打つに違いない。

文=アサトーミナミ