「太古の海は“ぬるま湯”だった」「太陽は暗かった!?」…地球の気候にまつわる最新の研究結果

暮らし

2018/11/19

『地球46億年気候大変動 炭素循環で読み解く、地球気候の過去・現在・未来(ブルーバックス)』(横山祐典/講談社)

 人生五十年――。戦国時代を代表する織田信長が、桶狭間の戦いの直前にそのように謡い、舞ったというのは有名な話だ。

 日本の平均寿命は、そんな戦国時代と比べてみれば、およそ30年は延びている。そのため、現代に置き換えれば50歳はまだまだ現役、人生半ばだろう。

 だが、我々人間にとってかけがえのない80年など、ちっぽけに感じる存在を忘れてはいけない。それは私たちが生きている地球だ。なにせ地球は46億年という途方もない時間を過ごしている。そして、我々には容易に想像できないような奇跡が起き、変化が繰り返されているという。

 そんな地球のダイナミックな奇跡・変化を感じられるのが『地球46億年気候大変動 炭素循環で読み解く、地球気候の過去・現在・未来(ブルーバックス)』(横山祐典/講談社)だ。

 本書は、太古の気候変動を読み解くことで、何十億年も前の地球の様子を探る「古気候学」からわかったこと、さらに、今後起こりうる可能性について言及している。本記事では、その一部をいくつか紹介したい。

■誕生したばかりの太陽は今よりずっと暗かった!?

 地球を照らす太陽。そのおかげで明るい朝がやってくるのだが、それだけでなく、熱ももたらしてくれる。そんな太陽が生まれたばかりの約46億年前は、今よりも暗かったそうで、徐々に徐々に輝きを強くして、今の太陽に至ったとのこと。

 ここで地球の気温が問題となる。太陽が暗い場合、地球上の水が凍ってしまうという。もし地球が氷で覆われていると、生き物が誕生することはできない。だが、研究によれば、太陽が暗かった時代にも水は凍らずに生き物を育んだという。

 そのキーワードとなるのが、現在では地球温暖化をもたらす温室効果ガスにある、という流れで著者による謎解きがスタートする。

■太古の地球の海は「ぬるま湯」だった?

 大昔の太陽は暗かったため、現在よりも太陽が生み出す熱は少なかった。だが、海は凍ることがなかったそう。なぜ、わかるのか。それは太古の温度を示す岩石を研究することで明らかになったという。

 しかも、凍るどころか現在の海よりも温かい「ぬるま湯」の状態だったのだとか! 知れば知るほど謎が深まる、いにしえの地球。100%の解答ではないかもしれないが、以前は使うことができなかったスーパーコンピューターによる演算や様々な研究成果によって、可能性が高い仮説が導きだされている。そんな最先端の研究結果に是非本書で触れていただきたい。

■海水が5m上昇すると、東京東部と埼玉南部が沈没する

 古代の地球の気候を読み解くためのカギとなったのが温室効果ガス。これは、地球で発生した一つひとつの奇跡ともいえる自然現象が起こしたものだ。だが、現在問題視されている地球温暖化は、化石燃料を燃やすことで人工的に作り出された二酸化炭素が原因となっているもの。

 そして、温室効果をもたらす大気中の二酸化炭素は今もなお増え続けている。それが進むとどうなるか。北極圏や南極などの氷が融け、海面が上昇する。現在、世界人口約70億人のうち6億人が海面5m以下に暮らしているという。つまり、5mの海面上昇が起きれば、6億人が家を失ってしまう。

「そんな国に住んでる人は大変だな~」なんて呑気なことは言っていられない。海水が5m以上上昇すれば、日本の都市・東京の東部と埼玉南部が沈没してしまうという。

 本記事では紹介しきれないが、地球温暖化は決して他人事で済ませられる問題ではない。そんなことを考えるきっかけになるはずだ。

 本書は雑学的に「かつての地球の海はぬるかった」「太陽は暗かった」ということが記されているものではない。過去にどのような研究が行われ、それが現代にどう生かされ、今の技術でどんなことが明らかになったのか、ということが丁寧に書かれている。

 理系に疎い人間には少し苦労する内容かもしれないが、これまで知らなかった事実が明らかになり、自分の見識が広がっていくという感覚が実感できる一冊であることは間違いない。

文=冴島友貴