GENERATIONSの片寄涼太さんも感動! 予想外のラストに恋の涙が溢れる…

文芸・カルチャー

2018/11/28

『この恋は世界でいちばん美しい雨』(宇山佳佑/集英社)

 人は愛おしい相手を笑顔にしようと精一杯努力したくなる。しかし、もしも大好きな人を幸せにするたびに、自分の余命が削られていくのなら、人は大切な人と自分の命のどちらを守ろうとするのだろうか。

『この恋は世界でいちばん美しい雨』(宇山佳佑/集英社)は、そんな究極の“もしも”にスポットを当てた長編恋愛小説。本書は建築家の卵である雨宮誠と、その彼女の相澤日菜が主人公で、それぞれの視点によりストーリーが進んでいく。

「いつか日菜に家を建てるのが僕の夢で僕らの夢」「彼を支えるのが私の生きる理由」。お互いのことをそう想い合う誠と日菜は雨の日に出会い、交際を開始。喜びや悲しみを分け合いながら、順調な同棲生活を送っていた。

 しかし、ある雨の日、2人はバイク事故により瀕死の重傷を負ってしまう。目を覚ました2人は目の前に現れた「案内人」と名乗る喪服姿の男から「ライフシェアリング制度の対象者に選ばれた」と告げられた。

 案内人が提案したライフシェアリング制度とは、一度普通の生活に戻れる代わりに、20年の余命を2人で奪い合いながら生きていかなければならないというもの。自分の余命は、相手が幸せを感じることにより奪われてしまう。

 2人は自分たちの夢を叶え、共に幸せになるため、この奇妙な制度を受け入れて現世に戻ることを選ぶが、その先には予想以上の困難が待ち受けていた。自分が喜べば相手の命を取ってしまい、相手を喜ばせることをすれば自分の命が奪われてしまうという苛酷な事実は徐々に2人の日々に悲しい変化をもたらしていく。運命だと信じて疑わなかった恋は果たして、どんな結末を迎えるのだろうか。

 GENERATIONS from EXILE TRIBEの片寄涼太さんも「最後には必ず“美しい涙”が止まらなくなると思います。生きているなかで心から大切に想える人と出会えること、ただそのことが“奇跡”なんだと気づかせてくれるとても素敵な作品でした」と感動した本作は予想を裏切るストーリー展開になっており、奇跡や幸せとは何かを改めて考えさせてくれる。

 作中ではタイトルにちなみ、雨に関する雑学も数多く登場。読後は、いつもなら憂鬱に感じられる雨が無性に愛おしく思えてしまうはず。大切な人がいる方だけでなく、恋愛から遠ざかっている方や恋を失ってしまった方にも手に取ってほしい作品だ。

文=古川諭香