【AV業界の裏事情】AV男優はモテるの!? ギャラってどれくらい?

エンタメ

2018/11/30

『AV男優になろう!』(木村ひろゆき、けろりん/笠倉出版社)

 政府が掲げる「働き方改革」という言葉が、企業でおかしな使われ方をし始めているようだ。大手スーパーでは、経理などの裏方部門を廃して全従業員が品出しやレジ打ちをできるように再教育し、ホテル業界ではフロントマンにもベッドメイクをさせるなどして、それを「働き方改革」と称しているという。要するに人手不足の穴埋めで、本来の「柔軟な働き方がしやすい環境整備」が、企業にとって都合の良い「働かせ方改革」になってしまっている。だが、人がそんなに便利になれるわけはなく、望まない配置転換や慣れない業務への不満から退職者が続出しており、さらに人手不足に陥っているという話も聞く。

 となれば私たち自身もまた、柔軟な発想で「働き方改革」をしなければならないだろう。例えば、自分が好きなことを仕事にするのはどうだろう。私の場合、エッチなことが大好きなので、参考に『AV男優になろう!』(木村ひろゆき、けろりん/笠倉出版社)を手にしてみた。

 著者は、男優から制作、監督まで、ありとあらゆるAVの仕事をこなしてきたそうで、「やっててよかった職業ランキング」なんてアンケートがあれば「AV男優も上位にくる気もするし」と述べている。

 では、その撮影現場はというと、中学生男子の妄想みたいな裸の男女が絡み合っている淫靡な空間とは違う模様。なにしろ、三脚に乗ったカメラに音声や照明機器と、電源を供給するケーブルが配置されていて、とにかく安全管理が優先だから神経を使う。そのうえ、大勢のスタッフに囲まれる中で自分の息子を奮い勃たせなければならないのだから、大変なプレッシャーである。著者によれば、それは「才能」であり「もっとも基本的な能力」だそうだ。

 それなら、女優とのプライベートなエッチをする機会はあるのかというと、業界内では「どんなに気が合って両思いになろうとも」御法度だそう。恋人関係が破綻した果てに女優が引退でもしようものなら、「非常にマズい事態」になると警告している。その代わりと言ってはなんだが、現場では機嫌の悪い女優をなだめるのに気を遣うことがあるため、女性の扱いに慣れてモテるようにはなるらしい。AV男優であることを、合コンなどで会話のネタとして出せば「興味を持たれるのは間違いない」と、著者は断言している。ただし、素人女性とするさいには性感染症に対して厳重な注意が必要との忠告も。

 実は、この原稿を執筆しているときに、AV業界に激震が走るニュースがあった。AV女優が、HIVに感染していることが判明したという。AV業界の健全化のために2017年に発足した「AV人権倫理機構」が事態を把握してから業界に通知するまでに、約1ヶ月のタイムラグがあったとのことで、AV男優からは、もっと早く公表してほしかったとの声もある。撮影での感染ではないようだが、本書でも性病の正しい予防法とともに、発覚した時点で正直に監督やスタッフに申告して、迅速な治療を受けるよう勧めている。ただ、著者によると男優も女優も定期的な性病検査を受けており、撮影時には診断書の提出が義務付けられているため、むしろ世間一般の人より性病の侵入を防止していると述べている。

 肝心のギャラについては、AV男優はフリーランスなため、それこそ0円から1本10万円と幅が広く、著者が監督する場合は3万円が平均だという。いわば、「自身」に値段を付けることになるわけで、自分に自信が無いと難しい。

 エッチは大好きではあるけれど、体が資本なだけに健康管理やストレスコントロールは並大抵のことではなく、残念ながら自堕落な自分には向かないように思える。しかし著者は、「客席で観てないで先に舞台に上がれ!」と読者を鼓舞しており、もし本書を読んでAV業界に飛び込む人がいるのなら、アナタが改革者となるかもしれない。そして、もっと働きやすい環境が整ったら、AV業界の扉を叩かせてもらおうと決めた。

文=清水銀嶺