「段取りが苦手」「融通がきかない」…もしかして発達障害!? を生きやすくするコツ

暮らし

2018/12/27

『もしかして私、大人の発達障害かもしれない!?』(田中康雄/すばる舎)

 大人の発達障害に関する書籍やネットの記事を目にして、「もしかして私も発達障害なのかもしれない…」と気になっている方も多いのでは?

 そんな人にぜひおすすめしたいのが、その名もズバリ『もしかして私、大人の発達障害かもしれない!?』(田中康雄/すばる舎)です。全239ページと割と厚めの書籍ながらも、厳密には著者による「語り下ろし」というスタイルで制作されていることや、大き目の文字で綴られていることもあり、スラスラ読み進めていくことができます。

 興味深いのは、大人になってから仕事や日常生活において失敗を重ねることで、「発達障害かも」と自覚するケースが増えている、ということなのです。子どもの頃は、「ちょっと変わった子」「落ち着きがない子」といった範疇で済まされていたことが、PDD(自閉症・アスペルガー症候群)やADHD(注意欠陥・多動性障害)といった名前がついたことで、周囲の見方が変わってしまうことに対する弊害もしっかり書かれています。つまり「発達障害が急激に増えた」というわけではなく、「発達障害が目立ってきた」というのが実情であるともいえるのです。

 本書が画期的なのは、大人の発達障害に関する基本的な知識が身につくのはもちろん、「もしかすると自分もそうかもしれない」「身近なあの人もこんな風に困っているのかもしれない」と感じた人に向けて、ただやみくもに受診を促すのではなく、具体的に発達障害とどうつきあっていったらいいのかをアドバイスしてくれる側面が強いということです。

 もちろん「生きづらさ」に説明がついたことで、自分や親の責任ではなく「単なる脳の特性だったんだ」と楽になれる人もいるでしょう。とはいえ「診断はあくまでスタートラインにすぎない」という現実も、この本は教えてくれます。「ダメなところを『治す』のではなく『生きやすく』するためにできることは何なのかを一緒に考えていきましょう」というスタンスなので、焦らず自分のペースで特性と向きあうことができるのです。

 たとえば「仕事の段取りが苦手」「融通がきかないと言われる」という人に対して、まずは「どうしてこうなっちゃうの?」といくつかの理由をしっかり説明したうえで、「こうすればうまくいく!」という解決策を提示してくれるので、自分でも納得しながら日常生活を改善していくことができます。

 さらに「発達障害」であることが分かった場合、職場や周囲にカミングアウトをするべきかどうかといった、センシティブな問題にもしっかりと踏み込んで書かれています。「こんなことになるなら、言わなきゃよかった」となる前に、「まずは身近にいる信頼できる人だけに相談してみる」といったステップがわかりやすく紹介されているのです。

 大切なのは「発達障害を特別なこと」として捉えるのではなく、誰もがリラックスした状態で毎日を送れるように、ゆる~く繋がって相互理解を深めよう、ということ。ちょっと不安になったときにこの本を手に取ってみるだけでも、きっと精神安定剤的な役割を果たしてくれるに違いありません。

文=渡邊玲子