間違っていたかも!? 秘湯マニアの医者がすすめる「温泉の本当に効く入り方」

健康・美容

2019/1/9

 『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』(佐々木政一/中央公論新社)

 今季は暖冬が予想されていたが、いざシーズンに入ると時折強い寒波がやってきて、ひどく寒くなったかと思えば、数日後には春並みの暖かさになるといった、体にこたえるような寒暖差が激しい日々が続いている。今が1年のうちで、いちばん温泉が恋しくなる時期といってもいいだろう。

『秘湯マニアの温泉療法専門医が教える 心と体に効く温泉』(佐々木政一/中央公論新社)は、自ら“温泉中毒”と名乗る医師が、これまでの海外3カ国を含む国内外でなんと217か所に及ぶ温泉巡りから、お気に入りの温泉を選りすぐって紹介してくれる。医師としての立場から温泉の効能や正しい入浴法、さらに和歌や小説に登場する温泉地などが解説されており、読み進めながら、温泉そのものの知識から温泉地の歴史背景などまでを気軽に学べる1冊となっている。

■いつか行きたい、秘湯中の秘湯はどこにある?

 本書序盤で、著者が“温泉中毒”というほどはまった経緯や温泉の定義が書かれたあと、著者が選んだ温泉「お気に入りベスト22」の案内が始まる。秘湯と呼ばれる温泉を中心に、泉質や効能、温泉データを掲載。温泉の様子や観光スポットなどもわかりやすく簡潔にまとめてある。時には温泉にちなむ文学作品にも触れ、温泉への旅情を一層、呼び起こすものだ。

 掲載されている温泉をいくつか挙げておこう。

 鳥取県の「岩井温泉」は、山陰地方最古の温泉として約1300年の歴史があるそうだ。硫酸塩泉で、高コレステロール血症や便秘に効能があるとのこと。

 また、北海道の「然別峡(しかりべつきょう)かんの温泉」は、北海道大雪山国立公園内にある秘湯で、温泉法で定められた泉質のうち8種類が存在し、「かんのの湯で治らぬ病はない」と伝えられているそうだ。1か所で8種類の泉質に入浴できるというのは、かなり珍しい。

 富山県の「大牧温泉」は、船でしかいけないという山奥の秘湯。クマやキツネなどの野生動物が出没するので夜間の外出は禁止されており、そのかわりに大自然のなかで野趣あふれる入浴を満喫できるとのこと。どの温泉も体だけではなく、精神的なストレスからも解放されそうだ。

■意外と知らない人が多い!? 正しい温泉の入浴法とは

 すぐにでも温泉に行きたいという人のために、著者が提唱する「温泉の正しい入浴法10カ条」から一部を抜粋で紹介しよう。

(3)ほんのり汗ばんだら、いったん浴槽から出る
汗がだらだら流れ出したり、動悸がしたりするほどの入浴は、のぼせ(脳血流量の増加)の原因になるので危険。うっすら汗がにじんできたら、いったん浴槽から出る。ちなみに、頭に濡れタオルをのせるのは、気化熱によって頭を冷やしてのぼせを防ぐため。

(9)お酒を飲みすぎたら、温泉には入らない
アルコールは血管を拡張し、血圧を低下させる作用がある。さらに温泉に長時間浸かっていると温泉の温熱効果により血管が拡張し、一層血圧が下がり、脳貧血や不整脈が起こりやすくなる。深酒後の入浴は避ける。

 ことわざでいう“過ぎたるは猶及ばざるが如し”は、温泉に入浴する際にも当てはまりそうだ。温泉の恩恵を「ほどよく」授かる入浴を心掛けたい。

 著者の佐々木政一氏は、日本温泉気候物理医学会・温泉療法専門医。医学博士で専門は消化器外科。現役医師でありながら、豊富な温泉巡りの経験を持ち温泉の歴史やまつわる文学に精通し、地方紙連載や執筆活動で温泉の魅力を広く発信している。

 この冬は本書がすすめる温泉の旅で、じっくりと体も気持ちも温まりにいってみたい。

文=小林みさえ