年末年始に親と話して「あれ、もしかしてボケた?」と不安に感じた人はチェック。家族の認知症と向き合う本

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2019/1/23

『先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 「老年精神医学」が教える認知症との付き合い方』(和田秀樹/祥伝社)

 人生100年時代といわれる今日において、われわれが避けることのできないのが身近にいる高齢者、親や祖父母など身近なお年寄りの認知症である。

 昨今の研究では、認知症は老化に伴って、遅かれ早かれ誰でもかかりうる疾患であるとの認識が強まっている。誰もが認知症と向き合う可能性をもっているいま、認知症、そしてこの病を患う家族との向き合い方そのものを変えていかなければならないと説くのが、『先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 「老年精神医学」が教える認知症との付き合い方』(和田秀樹/祥伝社)である。

■認知症は脳の老化。では、脳の老化はどこから始まる?

 認知症の原因は脳の老化にあるといわれている。このとき多くの人が勘違いしているのが、歳を取ってくると記憶力のみならず、言語の理解や計算処理の能力も同様に鈍くなるということだ。ところが実際は、脳の老化が起こるのは記憶や感情をつかさどる前頭葉が中心で、言語能力や計算処理能力にかかわる部分は高齢になってもそれほど機能低下を起こさないことが研究で分かってきた。

 このことから具体的に何がわかるかというと、脳は“記憶や感情”から衰えていくということである。たとえば、「最近、年老いた親が頑固になった」とか「若いころはやる気で満ち溢れていたのに、最近はボーっとしていることが多い」あるいは「感情のコントロールができずに、怒りっぽくなった」という高齢者によくみられる事例は、実は脳の老化がその正体だったのである。これらは認知症が始まる前のひとつのサインとして、気をつけておきたいポイントだ。

■脳の老化を防ぐには脳に刺激を与えよう

 それでは、脳の老化を防ぐためには何ができるのかについて考えてみよう。手っ取り早い方法は、脳に刺激を与えて活性化させることである。日常生活のなかで毎日のようにこなしている、いわゆるルーティンのような活動では脳を刺激することはなかなか難しい。

 そこで、意識してやるべきことは「いつもと違うこと」だ。たとえば、普段父親が歴史小説の本をむさぼるように読んでいるなら、たまには現代的なノンフィクションを読むようすすめてみるもよし。昔から和食を作るのが得意で、洋食などはめったに作らなかった母親をおもちの方であれば、一緒に台所に立ってイタリアンを作ってみるのもよしである。

 こういった「いつもと違うこと」を行うのは、脳にとっては想定外の出来事の連続なので、これが脳の老化に歯止めをかけるのだ。

■もし自分の親が認知症だと分かったら、まず何をすればいい?

 本稿では本書の内容からおもに、認知症は歳を重ねれば避けては通れないということ、脳は感情から老化するということ、そして脳の老化を防ぐには新奇な物事に触れるのが効果的であることの3つを中心に話を進めてきた。

 本書の後半部分では、認知症を患っている親の終活をどうするかという点について、知っておきたいさまざまな悩みや疑問について具体的なアドバイスを示してくれる。親と同居している人も、あるいは離れて暮らしているという人も、「親が認知症になってしまったらどうしよう…」と考えると不安になってしまうだろう。いざというときに慌てないために、家族として自分ができること、そしてプロに頼るべきこと、などについて事前にきちんと知っておくことが必要そうだ。

文=ムラカミ ハヤト