「完読される文章」を書くためのナタリー式トレーニング! 3つのポイント

ビジネス

2019/2/12

『新しい文章力の教室』(唐木元/インプレス)

 文章力は私たちの必須スキルだ。仕事でメールを打つとき、誰かにプライベートなメッセージを送るとき、SNSやブログで不特定多数の目に触れる投稿をするとき。どのような目的であれ、頭の中にある思いを正確に表現し相手に伝える能力があればあるほど、人生は間違いなく右肩上がりになる。

 ところが、このスキルを身に着けるのが難しい。SNSの普及でますます「文章」に注目が集まる昨今、文章力を向上させたい人がたくさんいる。そこでオススメしたい書籍が『新しい文章力の教室』(唐木元/インプレス)だ。

 本書は、月3000本以上の記事を配信するニュースサイト「ナタリー」が実践する「文章の書き方」メソッドを書籍化したもの。2015年に出版され、いまだ多くの人が手にするロングセラーとなっている。「文章が書けるようになりたい…」と悩む人のため、本書で解説される77のテクニックのうち、ほんの少しだけご紹介したい。

【1】「余計な単語」を削ると文章は読みやすくなる

 文章は「読みやすい」と「読みづらい」が如実に分かれる。その理由は様々あり、なかでも陥りがちなのが、「余計な単語」を書き連ねることだ。本書より悪い例文を抜き出してみよう。

オバチャーンというアイドルグループは、平均年齢63.5歳の大阪のアイドルグループ。そしてオバチャーンの新曲は、とても陽気でハイテンションなスカナンバーに仕上がっている。しかも関西のスカバンドTHE MICETEETHが演奏を務めている。

 うーん…読みづらい。さっそく添削してみよう。最初に注目したいのが、接続詞だ。文のつながりを強調し導線の役割を果たす接続詞だが、それぞれの文の内容がスムーズに連結されていれば使わなくてもOK。上記の場合、「そして」「しかも」はカットしたい。

 また「オバチャーン」という単語が連続して出現しているのも気になる。重複した表現は文章がくどくなるので、同じくカットするか別の単語に置き換えよう。

 このほかいくつか添削が入り、最終的にスタイリッシュになった完成文がこちらだ。

オバチャーンは平均年齢63.5歳の大阪のアイドルグループ。新曲は陽気なスカナンバーに仕上がっており、関西のスカバンドTHE MICETEETHが演奏を務めている。

 余計な単語が削られ、読み手の頭の中に内容がスッと入るソリッドな文章になった。自分の書いた文章が気になる人は、ぜひ「接続詞」と「重複」に注意してみよう。

【2】なんとなく使いがちな「こと」や「もの」は減らす

 文章に慣れてくると、余計な表現が入りがち。たとえば「こと」や「もの」などのつなぎ言葉の多用だ。

自分のことを理解することで、成長することができるようになる。

卓上電気ポットは手軽にお湯をわかすために便利なものだ。

 意味は理解できるが、読み手に回りくどい印象を与える。プロのライターも「こと」「もの」表現を多用しがちなので、自戒もこめて注意したい…。

自分を理解すれば、成長できるようになる。

卓上電気ポットは手軽にお湯をわかすために便利な道具だ。

 これらをカットするだけで、文章がすっきりした見た目に変わる。

 さらに気をつけたいのが、なんとなく使いがちな「つなぎ言葉」だ。

音楽をPCで聴く人が増えてきた。そうした中、アナログレコードの再評価ブームが起きている。

一見、意味の通りそうな文章だが、「そうした中」が雰囲気で使われてしまっている。もともとは「そのような状況において」という意味で、前文で提示された内容を受ける「つなぎ言葉」の役割がある。しかしこの例文では、「そうした中」の前後の内容がうまくかみ合っていない。

音楽をPCで聴く人が増えてきた。そうした中、高音質データでの配信サービスが人気を博している。

 これならば、「そうした中」の前後の意味がつながるだろう。このほか「基本的に」「逆に」「~ほう」など、なんとなく使いがちな「つなぎ言葉」が多数あるので気をつけたい。

【実践編】文章はいきなり書くものではなくしっかり準備する

 ここまで本書よりスタイリッシュでソリッドな文章を書くテクニックをご紹介した。しかし少し考えてみたい。

 そもそも良い文章って何だろう?

 本書の著者でありニュースサイト「コミックナタリー」初代編集長の唐木元さんは、「良い文章」とは「完読される文章」と言い切る。

 たしかに文章を最後まで読むのは根気が必要だし、意味が分からないと途中で読み飛ばすことも多い。良い文章ほど、よりたくさんの人に完読してもらえるのだ。

 では、完読される文章とはどんなものか。答えは、明快で読みやすいことだ。「事実」を正確に伝え、文章が無理なくスラスラと頭に入るよう「ロジック」が組まれている。これが完読を目指す上で必須になる。

 そのために必要なのは、書く前の準備作業だ。作成する文章のテーマを定め、テーマに沿った文章を事実に基づいて書くために取材を行い、文章の構造を決める。反対にこの作業をしていないと、どれだけ悩んでも書けない。文章はいきなり書くものではなく、しっかり準備することが大切。「文章が書けない」と嘆く人は、書く前の準備不足に原因がある。

 上記【1】【2】の項目でソリッドな文章を書くコツをご紹介したが、これらはどちらかというと「見た目の良い文章の書き方」にあたる。「文章をスラスラ書けるようになりたい!」という人は、ぜひ本書の1章と2章で解説される「ナタリー式トレーニング」を読んでほしい。本書に記されたテクニックをマスターしたとき、きっと思い通りの文章がスラスラとよどみなく出てくるはずだ。

文=いのうえゆきひろ