脳科学者おすすめの音楽はなんと“メタル”! 流されない自分を作り出すメタルの効用

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更新日:2019/2/27

メタル脳 天才は残酷な音楽を好む

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』(中野信子/KADOKAWA)

 メタルは本質的に「個を律する」ための音楽だ――『メタル脳 天才は残酷な音楽を好む』(KADOKAWA)の中でそう語るのは本書の著者であり、脳科学者・医学博士の中野信子さんだ。中野氏は、自身もメタル好きであり、自分を含めたメタル好きの人たちの思想信念や行動を観察するうえで、この命題にたどり着いたのだという。

 本稿では、脳科学者の中野信子さんが、メタルは自律にふさわしい音楽だと考えるわけを本書の中からかいつまんで紹介してみようと思う。その際、自分をコントロールできない人の特徴や、メタルファンの共通項を踏まえて考えていこう。

■自分をコントロールできない人とは?

 本書の内容を踏まえると、自律ができない人というのは周りに流されやすい人を指している。わかりやすく言えば、流行りの音楽を聴き、歌い、踊るような人たちである。意識的にせよ無意識にせよ、みんなが聴いているからということで、それを自分も聴き、歌い、踊る。

 わたしが“流されやすい人”を観察している限りでは、当の本人たちは「自分がそれでいいと思っているのだから、それでいいじゃん」と思っているようだ。しかし、そういった流される環境に慣れた人たちは、なんらかの理由で社会に対する抵抗が必要になった場合に動けなくなると思えてしまうのはわたしだけだろうか。

■メタル好きに共通してみられること

 どうやらそう考えているのはわたしだけではないようだ。著者の中野氏は、メタル好きの人たちは「非社会的」であり(巷でよく言われる「反社会的」とはまた違う。これについては本書を参照してほしい)、それゆえ日和見の能力が低い人たちが多い、と述べている。「なんとなくみんなこっちに向かってるから、オレもそっちに行こーっと」という考えが、メタル好きの人たちの脳内には起こりにくいというのである。

 言い換えれば、メタルファンの多くは、常に冷静に社会と自分を区別し、社会に対して懐疑的な視線を注ぎ、ときに社会に対してシニカルにもなれるということである。

■社会と距離をおく人にメタルファンが多いのはなぜ?

「非社会的な人」たちにメタルファンが多いことは先述したとおりだ。それではここで、社会と距離をおく人にメタルファンが多いのはなぜなのか考えてみよう。

 まず第一の理由として、メタルの特徴である鋭い曲調や社会性に欠ける歌詞が挙げられる。社会に不満をもつ人の心に響くことが想像できるだろう。

 次の理由は、「自分で自分の領域を守りたい」という強迫的な思いである。非社会的な人は、自分に対してネガティブであることが往々にしてある、と中野氏は言う。そういった自己評価の低下を食い止めてくれるものこそメタルなのだそう。

 泣きたいときには泣ける映画を見るのがよいといわれるのと同様に、自分に対してネガティブな感情を抱きそうになったときはそのネガティブな思いを代弁してくれる音楽を聴けばよい。そうすることで自分の守るべき領域を取り崩さずに済むのである。そして、これこそがまさに自分を律するということなのだ。

 ここまでみてきて分かる通り、メタルはメタルファンにとって自分を自分たらしめる音楽なのである。本稿をお読みになるだけでも、ある程度はメタルの魅力を紹介できたかもしれない。がしかし、この紙幅とわたしの言葉だけではどうしてもメタルの本質を言い表すことはできない。そこで、メタルに少しでも興味をもたれたみなさんには、ぜひ書籍の方に目を通してもらい、メタルの真髄に迫っていただきたいと思う。

文=ムラカミ ハヤト

この記事で紹介した書籍ほか

メタル脳 天才は残酷な音楽を好む

著:
出版社:
KADOKAWA
発売日:
ISBN:
9784048961240