「努力は報われない時もある。」言いにくすぎる“世の中の真実”を子どもに伝える絵本

出産・子育て

2019/2/26

『メシが食える大人になる! よのなかルールブック』(高濱正伸:監修、林 ユミ:絵/日本図書センター)

 小学生のとき、学校で教わった道徳は「みんな仲良くしましょう」「夢を持って努力しましょう」「明るく前向きに生きましょう」。でも実際に毎日を過ごしていると、どうしても合わない人はいるし、努力を続けても上手くいかなかったり、落ち込んだときの立ち直り方が分からなかったり…。

 大人になるにつれて、だんだんと自分の思考のクセを知り、処世術を身につけていくものだけれど、もし子どものときからそれを教えてくれる授業があったら、この本が教科書になるのかもしれません。『メシが食える大人になる! よのなかルールブック』(高濱正伸:監修、林 ユミ:絵/日本図書センター)です。

 本書は「花まる学習会」を設立した高濱正伸先生が監修。イラストレーターの林ユミさんの可愛くて分かりやすいイラスト付きで、これから厳しい世のなかを生きる子どもたちのために「大人になるまえに知っておいてほしいこと」をまとめた書籍です。「花まる学習会」は単に勉強を教える塾ではなく、「メシが食える大人に育てる」を理念に掲げ、作文や読書、思考力、野外学習を主軸に据えた独自の教育を行っていて、「情熱大陸」(毎日放送)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)など多くのメディアにも取り上げられています。

 そんな人気塾が教える「よのなかルール」は全部で50個。決してきれいごとではなく、現実もふまえた厳しい言葉も並んでいます。

よのなかルール 15
努力が報われるとはかぎらない。それでも、努力しつづける。

 努力をしても、結果が出ないときもある。でも、だからといって努力をやめてしまったら、そこでおしまいだよ。うまくいかないときこそ、きみの底力が試されていると考えよう。

 花まる学習会がすごいのは、決して「努力は報われる」と教えないところ。ときには挫折や失敗を経験したり、高い壁に直面したり、成功ばかりではない人生で、うまくいかないときにこそ「どう行動するか」を自分で考えることが、厳しい社会の荒波を超えていく手助けになることを知っているのです。

よのなかルール44
しかられることにくじけない

 ときには、しかられたって行動しなくちゃいけないときがある! しかられることを恐れて自分の気持ちを手ばなすことに、慣れてしまわないように。

 この一文を読んで想像したのは、「やらないと親に怒られるから」という理由で勉強や習いごとを続ける子どもの姿。本当は自分の好きなことや、挑戦してみたいことがあるのに、親の言うことだけを聞き、自分で考えずに進路を決めるのは違うのではないか、というメッセージが込められているのではと感じました。大人になっても、「怒られるから」という理由で何かを決めてしまうのがよくないのは同じこと。例えば、上司が怒るからという理由で、社内事情を優先してお客様を第一に考えられなくなってしまうのはよくある話ですが、それで「メシが食える大人」としてずっと仕事をしていけるのかは、疑問ですよね。

大人もハッとさせられる、人生の真理

 小学生向けの書籍ですが、中学生・高校生・大学生・社会人…人生の中で何度も読み返したくなる1冊です。悩んだときにページを開けば、どの年代で読んでも何かしらの“ヒント”をもらえるはず。

文=箕浦 梢