JJ(=熟女)の未来は明るい! 加齢が楽しみになるエッセイ『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった』

暮らし

公開日:2019/3/5

『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった アルテイシアの熟女入門』(アルテイシア/幻冬舎)

 元気に1年を過ごせば、順調に年齢を重ねていきます。なかには、いつの間にかアラフォーに近づいていたことに衝撃を受け、歳を取ることに不安を感じている女性もいるかもしれません。そんな女性陣の焦燥をふわっと包み込んでくれるのが、先日発売された『40歳を過ぎたら生きるのがラクになった アルテイシアの熟女入門』(幻冬舎)。同書は42歳の著者・アルテイシアさんが突き進むJJ(熟女)の日常を綴ったエッセイ集です。

 なかでも感慨深かったのが、女子会ならぬJJ会で盛り上がる話のネタ「ファッション黒歴史」についてのコラム。アルテイシアさんがJD(女子大生)だった時代、安室奈美恵のファッションをまねた「アムラー」と、ファッションアイコン篠原ともえに憧れる「シノラー」の二大勢力に分かれており、アルテイシアさんは「シノラー派」に属していたそう。

当時の写真を見ると、妖怪人間ベムのTシャツにランドセルを背負って首からワニのぬいぐるみをぶら下げた己が写っている。(中略)シノラー派は『愛などいらぬ! 個性こそ正義!』とCUTiEと宝島を読んで電気グルーヴを聴き、部屋でお香を焚いていた。元サブカル女子には『奇天烈=個性的でオシャレ』と信じて、漆黒の歴史を刻んだ者が多い

 20代後半~40代女性の記憶に残る「シノラーファッション」。その存在を知らない若者は、ぜひ画像を検索してみてください。奇抜がカラフルを着て歩いている、まさに個性のかたまりでした。とはいえ、篠原ともえさんのキュートな全力笑顔を見ると、彼女に憧れるJDがいても不思議ではない、はず……! このようにアムラー、シノラーなど、懐かしのワードが飛び出すのも同書の魅力です。

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「ファッション黒歴史には『奇抜でイタい』と『無頓着でダサい』の二派がある」とアルテイシアさんは定義しています。20代前半の人にも60代の人にも消したい「ファッションの黒歴史」のひとつやふたつあるでしょう。幅広い年代の黒歴史に響く、アツいコラムでした。

 また、本書には「40代になって『肩の力が抜けるとは、こういうことか』と実感した」と記されています。40歳の称号といえば「不惑」。孔子の『論語』に書かれた「四十にして惑わず」という言葉が語源です。なんでも、40歳になるとアレコレと惑わされることがなくなるとのこと。将来に不安を抱くJJ予備軍は、タイトルから不惑感が漂う同書を指針にすると、加齢が楽しみになるかもしれません。

文=丸井カナコ