月何回の「射精」がもっとも健康的? 男性の健康に不可欠な勃起と射精のメカニズム

健康・美容

2019/3/9

『男性機能の「真実」』(永井敦/ブックマン社)

 オトコたるもの、いくつになっても“性”に寛容でありたいものだ。もちろん節度を持って、という前提ではあるものの、年齢を重ねてもほとばしる“ムラムラ”を抑えきれない男性というのは、どこかエネルギッシュで若々しいような印象も受ける。

 さて、オトコにとっての性行為といえば、“勃起”と“射精”で完結するのはおそらく誰もが認識しているが、ED(勃起不全)に悩む人たちの声もある。そこで、オトコの下半身事情を医学的に解説した泌尿器科医による書籍『男性機能の「真実」』(永井敦/ブックマン社)をたよりに、オトコの身体について迫ってみたい。

■改めて知る“勃起”のメカニズム

 スケベな場面や動画などを目にしたとき勃起するというのは、男性であれば誰もが日常で味わっていることだろう。しかし、「なぜ私たちは勃起するのか」というメカニズムを、大人になって学ぶ機会は少ない。本書では、その最新研究結果を紹介している。

 性的な刺激を受けると、大脳からのシグナルにより副交感神経が興奮して、骨盤末端神経からNO(一酸化炭素)が放出される。やがてNOが陰茎海綿体へと染み渡ったのち、今度は特殊な反応によりcGMP(環状グアノシン一リン酸)が海綿体内で増加。そして、cGMPが増加すると筋肉の塊である陰茎海綿体が弛緩すると共に、内部へと急激に動脈血が送り込まれることで勃起するというのが、大まかな流れである。

■勃起と射精は前立腺の病気予防に役立つ

 勃起に関係する副交感神経は、人間の“リラックス”を司っている。反対に人間の“緊張”を司るのが交感神経で、その働きのピークとなるのは性的興奮が絶頂に達する「射精」だ。

 勃起と射精が対であるのはいうまでもないが、本書によれば、血管の若さを保つためにはこれらの働きが重要だと指摘する。特に、50歳を過ぎると前立腺肥大症や前立腺がんに罹患する確率が高くなるが、じつは、その予防に役立つのは、射精により前立腺の健康を保つことだそうだ。勃起時の陰茎に対する刺激はもちろん、射精により繰り返される前立腺の収縮と弛緩は、動脈の流れをよくする働きもある。

 過去のハーバード大学による研究では「月に21回以上」の射精により、前立腺がん発生の可能性が少なくなったという結果もあるという。(さすがに回数的にはきついと思いつつ)やはり、適度なセックスやマスターベーションは健康を維持するのに役立つといえそうだ。

■EDは心筋梗塞のサインになりうる

 勃起は男性にとって健康のバロメータであるが、一方で本書は、EDが男性にとって早死につながる可能性があるというリスクについて指摘している。

 過去には、「EDは心筋梗塞の前触れ」という論文も発表されているという。通常、冠動脈の血管の太さは3~4mmで、勃起に必要な陰茎新動脈の太さは1~2mm。全身のあらゆる動脈が同じ進行具合で硬化するとすれば、心臓の冠動脈が詰まるより前に、心臓から離れた下半身で硬化が始まる場合もあり、そのサインのひとつがEDだというのだ。この予兆を見逃すと、最悪のケースでは2年ほどで死に至ることもあるという。現在EDにはさまざまな治療法があるので、気になることがあれば専門医をたずねることも必要だろう。

 ただ快楽を求めるだけではなく、男性の身体の健康を考える上でも重要な役割がある勃起や射精。その意義を考えるためにも、男性たちには本書を手にとってもらいたい。

文=カネコシュウヘイ