「コーヒーは体によくない」は昔の話!? ダイエット、血糖値低下…健康になる飲み方のコツ

健康・美容

公開日:2019/3/13

『米国の医学博士が伝授する 人生を変えるコーヒーの飲み方』(ボブ・アーノット:著、佐々木紀子:訳/扶桑社)

 カフェインを多く含むコーヒーは、健康に悪いという話を聞いたことがあるだろう。夜寝る前にコーヒーを飲むと眠れなくなり、飲みすぎによって胃が痛くなる人もいる。しかし、実際はコーヒーにはそんな常識を覆す健康効果があることがわかっているという。『米国の医学博士が伝授する 人生を変えるコーヒーの飲み方』(ボブ・アーノット:著、佐々木紀子:訳/扶桑社)では、医学博士が科学的にコーヒーを検証し、その驚くべき研究結果が紹介されている。

 本書でまず注目されているのが、コーヒーを飲むとやせるという事実だ。コーヒーに含まれているカフェインには体の代謝を上げてくれる効果があり、運動をしなくても飲まない人に比べて多くのカロリーを消費することができる。運動をするとその効果はよりアップし、脂肪の燃焼や脂肪をエネルギー源として利用するなど、ダイエットの強い味方となってくれるそうだ。また、コーヒーに含まれる抗酸化物質「メラノイジン」が、余分な脂肪の吸収までしてくれるというからなんとも強力なダイエットの味方といえるだろう。

コーヒーに含まれるカフェイン量にもよるが、1~3杯飲むと代謝がアップし、一日75~100キロカロリーを余分に消費する計算になります。

 さらに、カフェインの効果により、運動のスピードとパワーが高まり、より多くのカロリーを消費することができるという。カフェインの効果を最大限に活用するためには、運動する1時間前にコーヒーを飲むといいようだ。本書では、スムージーとコーヒーを組み合わせた「コーヒー・ラヴァーズ・ダイエット法」も紹介されているので、興味がある人はぜひ実践してみてほしい。

advertisement

 コーヒーには他にもさまざまな健康効果が期待できるという。『ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン』では、一日に数杯のコーヒーを飲む人は、男性で10%、女性では15%も死亡リスクが低くなるという調査結果が発表されている。また、生活習慣によって発症するとされる二型糖尿病も、コーヒーを飲むことで発症率が低くなるというから驚きだ。コーヒーは血糖値を下げ、食後のインスリン反応を改善する効果が期待でき、実際に毎日250mlのコーヒーを飲む人は飲まない人と比べて糖尿病の発症率が54%も低いという結果も出ているのだ。

 さらに、血液をサラサラにして心臓病のリスクを減らす、がんを予防するなどの効果も期待されている。コーヒーは体だけでなく、メンタルにも大きく作用するようだ。うつ病の発症率や自殺率も、コーヒーを飲む人は飲まない人に比べて低くなっている。確かに、コーヒーを飲むと頭がすっきりとし、やる気に満ち溢れる感覚を味わうことがある。カフェインは神経に働きかけ、勉強や仕事の効率を高めてくれることを実感する人も少なくないだろう。うまくコーヒーを活用すれば、体と心の両方が健康になれるのだ。

 しかし、ここで重要なのがコーヒー豆の質だ。本書では、高い抗酸化作用と抗炎症作用を持つコーヒー豆のことを「高フェノールコーヒー」と呼んでいるが、高フェノールコーヒー以外のコーヒーは良質な栄養を含まないただのカフェイン飲料だと著者はいう。著者がすすめるのは、標高が高く赤道近くで栽培されたコーヒー豆。たとえば、ケニアやエチオピア、コロンビア、ブラジルなどの地域の豆がいいという。本書では、実際に栄養成分の高いコーヒー豆の銘柄も一覧で紹介してあるのでぜひ参考にしてもらいたい。

 新鮮でおいしいコーヒー豆が手に入ったら、ぜひ自宅で淹れてみることをおすすめしたい。本書では、おいしいコーヒーを淹れるコツも紹介している。使用するドリッパーやフレンチプレスなどのメーカーごとに、お湯や豆の量、抽出時間などを細かくイラストで紹介してあるのは画期的だろう。私も自宅にハリオのドリッパーがあるので、早速試してみようと今からワクワクしている。さらに、巻末には、コーヒードリンクのアレンジレシピや、ダイエットにも効果的な食事メニューのレシピも掲載してある。コーヒーの健康効果を知り、実際に生活に活かせるレシピが満載の本書は、ぜひ手元に置いておきたい一冊となるだろう。

文=トキタリコ