理解できる? 妻を他の男に抱かせて興奮する「寝取られ」の深層心理とは…

恋愛・結婚

2019/3/13

『男と女 セックスをめぐる五つの心理』(亀山早苗/中央公論新社)

 私たちの“セックス”のあり方は、インターネットなどの環境変化に応じてこの数十年でかなり大きく変化した。その結果、人々はセックスに対して自由になったのか、それとも遠ざかったのか、それはどちらの面もありそうだ。今や女性向けのファッション誌でも大胆にセックスが特集されている。かと思えば、セックスレス夫婦の割合は増加し、若者は「草食化」したなどと言われている。

『男と女 セックスをめぐる五つの心理』(亀山早苗/中央公論新社)は、セックスが複雑化した現代の男女を対象に幅広く取材し、多様なセックス観や性嗜好をレポートする1冊だ。

 本書では「愛情、嫉妬、葛藤、自由、解放」という5つの心理を軸に、多彩な“セックスの有り様”が語られる。

■理解できる? 妻を他の男にゆだねる快感

「寝取り願望」「寝取られ願望」という言葉がある。前者にそそられるという男性は割合多いかもしれないが、嗜好が多様化した現在では後者にもそれなりの需要があるようだ。その興味深い心理を覗いてみたい。

 本書で紹介される40代男性は、自分の妻を「他の男に抱かせる」ことが好きなのだと告白する。街で見かけたいい男に話しかけて交渉し、妻を抱いてもらい、自分はそれを「見る」のだ。

 彼の妻に対する愛情が淡白なわけではない。むしろ、彼は心から妻を愛していて、夫婦仲も良いそうだ。もちろん彼は、妻が他人に抱かれることに対して深く嫉妬もする。だが、見られている妻の自制心がはずれる瞬間があるという。深い快感にただ酔いしれる妻の恍惚とした表情を見ると、嫉妬の黒い渦が心の中で愛しさへと変換されるそうだ。

■羨ましい? 男が「抱かれる」という快感

「抱く=男性」「抱かれる=女性」という役割分担は、誰が決めたわけでもないのに普通だと考えられている。抱く側と抱かれる側を、ただ性別で切り分けてしまうのは、我々が固定観念に束縛されていることのひとつの証しとも言えそうだ。

 そのせいか、男性が女性をイカせることにはこだわるのに、自らの身体や快楽を女性に預けることに拒否感を示す男性は多いらしい。フェラチオをされることが苦手な男性も存外に多いそうだ。

 本書に登場するとあるカップルの彼氏も、以前は彼女がフェラチオをしたがっても頑なにさせなかったという。同棲して4年間、彼女は辛抱強く待った。ようやく彼は身体に触れられることを許し、次いでフェラチオを許し、そして今ではなんと前立腺を攻めてくれるようせがんでくるまでになったそうだ。

「女性をイカせるだけがセックスではない。自分がしてもらって気持ちいいと思えば、女性も歓ぶんだ」

 このことに気づくことができた男性は、想像もしなかったようなセックスの深みや広がりを知ることが可能になるのかもしれない。

 本書を読んでいくと、レポートごとに「これはちょっと特殊すぎるな」とか「これは共感できそうかも」などといろいろ思うことだろう。ただし、あなたにとっての「特殊」は誰かにとっての「快感」かもしれないし、あなたの「当たり前」が他の人にとっては「アブノーマル」かもしれないのだ。

 セックスは個人やカップルにとって最もプライベートな部分であるため、なかなかその深部は人目に触れない。他人がどんなセックスをして、欲望を具現化させ、常識から解き放たれているのか。本書にはそんな貴重なデータが赤裸々に綴られている。

文=K(稲)